特性ガードの使い道を考えたい
活きた事例を示したい
はじめに
ポケットモンスタースカーレット・バイオレットで登場したマイナーアイテムについての記事です。
ポケモンSVでは、新道具として「とくせいガード」という持ち物が登場しました。同時期に登場した道具の中でも、一番と言っていいのではないかというくらい影が薄い道具です。
今回は、特性ガードを対戦で使う場合の使い方について考えたり、実際に特殊ルールで活躍したケースを紹介したりします。
「もっと早く登場していれば最終1位構築に採用されていた」というところまで発見しました。
とくせいガードの効果
ゲーム内で確認できる説明文
かわいらしく 個性的な 盾。 持たせると 相手に 特性を 変えられない。
実際の効果
持たせたポケモンは、戦闘中に特性が変わることや、かたやぶり系の効果で特性を無視されることが無くなる。
つまり、
(1)特性変更無効
(2)かたやぶり系無効
の2つの効果を持ち主に付与するという持ち物です。
ゲームでの説明で触れられているのは(1)の効果だけです。
特性「すいほう」と同じように(この特性はゲーム中の説明にはみず技2倍の効果が書かれていない)、重要な効果でゲーム中の説明文に書かれていないという事象が発生しています。
「かわいらしく 個性的な 盾。 」の部分を入れるにしても、
「かわいらしく 個性的な 盾。特性を 変えられたり 無視されたり しない。」とか書きようはあったと思っています。
それはさておき、対戦でとくせいガードを活かそうとする場合、(1)の効果を使う場合と(2)の効果を使う場合に分類できます。
それぞれについて考えます。
特性変更無効
特性を変える技、特性を変える特性の効果で特性が書き換えられない。
という効果です。
効果の細分化
細かく分けると、以下のようになります。
SVで登場していない特性であるミイラ・さまようたましいについては実際に観測されたものではないですが、他の仕様から推測して十中八九この仕様で間違いないことから、ここに入れています。
・相手や味方のなかまづくり・なやみのタネ・シンプルビーム(特性書き換え技)を受けない
・相手や味方のスキルスワップ(特性交換技)を受けない
・相手や味方のいえき(特性無効化技)を受けない
・相手や味方のとれないにおい・ミイラ(特性書き換え特性)が発動しない
・相手や味方のさまようたましい(特性交換特性)が発動しない
・自分のなりきり(特性コピー技)が失敗する
・自分または味方のうつしえで特性が変わらなくなる
※その場合でも、とくせいガードを持っていないもう片方のポケモンの特性は変わる
・自分のスキルスワップ(特性交換技)が失敗する
・自分のトレース(相手特性コピー特性)が発動しない
・自分のレシーバー・かがくのちから(味方特性コピー特性)が発動しない
この他、かがくへんかガスの特性無効化は受けるのかどうか、というところが気になるところですが、SVにはマタドガスがいないので検証できません。
20230915追記:かがくへんかガスの特性無効化をとくせいガードは防げました。ガスが充満するときはとくせいガードで防いだ表示が出ます。すでに充満しているときにとくせいガード持ちが出たときは特に表示は出ずしれっと特性が発動します。
上に書いた項目のうち、ただ技が失敗するだけで何もしていないのと同じだというものを取り除きます。なお、一応技が失敗するだけでもそれが相手の技なら良いことですが、上にあげたような技を相手が使ってくることはほぼないので、今回は技が失敗するだけでは価値がないものとします。
すると、
・自分または味方のうつしえで特性が変わらなくなる
※その場合でも、とくせいガードを持っていないもう片方のポケモンの特性は変わる
・自分のトレース(相手特性コピー特性)が発動しない
の2つが残ります。
では、うつしえとトレースの2つについて考えます。
うつしえ+とくせいガード
うつしえ:自分と味方を相手対象1体の特性に変える技
ダブルバトルで、ケッキングとタギングルを並べてタギングルのいたずらごころうつしえでケッキングの特性なまけを相手の別の何かの特性に書き換えるという戦術があります。いたずらごころにより先制してうつしえを使えるところが良い戦術です。
通常、この動きをすると、タギングルが元々持っていた特性いたずらごころは失われ、うつしえの対象となった相手の特性になってしまいます。
しかし、とくせいガードをタギングルが持っていれば、ケッキングの特性だけを変えつつ、タギングルは次のターン以降もいたずらごころのままでサポートができます。
タギングルが別の持ち物を持つことができている相手の特性になっている状況より、タギングルがいたずらごころのままである状況のほうが良いのであれば、タギングルにとくせいガードを持たせることが対戦上有用となります。
トレース+とくせいガード
トレース;場に出たときに相手の特性をコピーする特性
とくせいガードの効果により、自分の特性トレースは発動しません。
単純に、発動しませんでした。終わり。だと何の意味もないので、"普通ならすぐに発動して消えてしまうトレース"が残った状態になっていることを活かすことに価値を見出せないか考えます。
<ダブルバトル トリック利用>
ここでは読解に時間を要する文章を書きます
という記述があります。
とくせいガードによって自分のトレースを不発にした後、味方にトリックでとくせいガードを回収してもらい、何かできないかを考えました。
とくせいガードがなくなれば、スキルスワップで相手にトレースを渡すことができるようになるのですが、相手に渡ったトレースが発動したとき、「相手が元々持っていた特性(スキルスワップ後、トレース持ちがこの特性になっている)」と「トレース持ちポケモンの隣にいたポケモンの特性」のどちらかをコピーすることになります。
何らかの戦術をする場合、相手に狙いの特性をコピーさせることが鍵となるので「トレース持ちポケモンの隣にいたポケモンの特性」をコピーしてもらいたいわけですが、それが成功する確率は50%です。
この系統のギミックといえば、特性ふしぎなまもりの〇〇を作るギミックがあり、「相手のトレースでふしぎなまもりをコピーしてもらい、それをこちらのトレースでコピーする」という動きをします。今回の方法だと、相手のトレース発動の段階で50%で失敗するので、後半のこちらのトレースでも50%で失敗することと合わせて成功率が25%になってしまいます。ふしぎなまもりポリゴン2を作る戦術では、かがくへんかガスを利用した成功率50%の動きが存在するので、それと比較すると劣ります。かける手数の数でも劣ります。
参考:【ポケモン剣盾ダブル】ふしぎなまもりポリゴン2をつくる選出縛りで勝率3割台でマスターボール級に到達する - テツポンドのブログ
<なかまづくりを使えたら>
現在、特性トレースのポケモンはなかまづくりを覚えませんが、覚えたら、トレースを相手や味方に配れて面白くなる、と思いました。
しかし、仕様を調べると、トレースが使うなかまづくりは失敗する(いえき+スキルスワップで検証できそうです)
もしかしたら見落としている何かがあるかもしれませんが、現状、トレース+とくせいガードで考えたのは以上です。
特性変更無効だと、有用そうなのは、タギングルがうつしえ使用時に自分の特性変更を防ぐというものだけでした。
かたやぶり系無効
所持者の特性はかたやぶり系の効果がある技で無視されなくなる。
という効果です。
現状、かたやぶり系の効果を持つポケモンの技で無視されなくなることだけしか確かめられていなく、技がかたやぶり系の効果を持っている場合(メテオドライブなど)については検証できていないはずですが、後者にだけは効果が働かないということはないだろうという考えのもと、以下を書き進めます。
この効果を活かせるのは、かたやぶり効果に弱いポケモンで、長めの言葉で言い換えるなら
「その特性でなかったら間違いなく今ほどの使われ具合ではないかつその特性がかたやぶりで無効化されるポケモン」
です。
使用率上位で見ていくと、
一番当てはまるのはミミッキュ、
さらに、ヘイラッシャ、ラウドボーン、ドオーの天然三銃士やサザンドラが続きます。
やはり、特性依存度が高いのはミミッキュです。
さて、ここで剣盾でミミッキュ入りで最終一位を取った構築を見てみましょう。
この構築では、ミミッキュはきあいのタスキを持っています。ミミッキュの特性ばけのかわは、攻撃を一度だけ無効化し、剣盾以降ではHPが1/8削られる特性であるため、通常はきあいのタスキが発動しないわけです。しかし、当時は、エースバーンのキョダイマックス技「キョダイカキュウ」などのかたやぶり効果を持つ技で特性を貫通して倒される危険性があり、きあいのタスキはそのような場面で役に立ちました。
この役割の「きあいのタスキ」は、「とくせいガード」のほぼ下位互換ではないでしょうか。
まず、ミミッキュがかたやぶり効果を持つ技を受けても耐えることができるという点は同じです。タスキの効果で耐えるか、ばけのかわの効果を無効にされないようにしてばけのかわで耐えるか、の違いだけです。
このとき、特性ガードならば、ステルスロックなどのダメージを受けていても耐えることができますが、タスキはステルスロックのダメージを受けていると耐えられません。
タスキが優れるケースとしては、普通の攻撃でばけのかわを使った後にグラスフィールドで2回回復するなどしてタスキでもう一度攻撃を耐えるというものがありますが、これはかなり発動しにくいです。
以上から、ミミッキュに持たせるのであれば、「きあいのタスキ」よりも「とくせいガード」のほうが優れていると言えます。
すると、先ほどの最終1位構築のミミッキュは、剣盾の時代にとくせいガードがあったならば以上の論理に従ってとくせいガードを持つことになります。
そして、とくせいガードを持ったポケモンを活躍させての最終1位が実現していたことになります。登場が早ければシングル最終1位構築入りをしていたほどの有用性があるというわけです。
この最終1位の構築にラブラブボール持ちのサンダー(選出しない)がいるせいで、「〜〜持ちポケモンが活躍しての最終1位達成」ではなく「〜〜持ちポケモン入りでの最終1位達成」ならどんな持ち物でもできていたことになってしまうのが面白いです。
特殊ルールでの活躍
かたやぶり系の効果が強いルールでは活躍できる可能性があります。
自分の話になってしまいますが、仲間大会での活躍を紹介します。
2023/3/19に、変化技限定のシングル61仲間大会がありました。6匹チームから1匹選んで対戦する形式です。純粋な変化技限定の1対1のバトルになっていて、サーフゴーが参加できました。
サーフゴーを禁止にしてしまいがちな思考の人が世の中にはおそらく多いであろうなか、禁止せずにシンプルなルールにしていただけて、個人的には好みです。サーフゴーは防御面では優れているものの攻撃面ではできることがかなり少ないため、対策ポケモンで勝つ方法はいくつかあり、一強環境にはなりません。
対策の一つとして、かたやぶり挑発というのがあり、ルチャブルなどが一定程度使われることが想定されました。
そこで、あまり知られていないであろうとくせいガードのかたやぶり無効効果を活躍させて、他の参加者を「!?!?」状態にしようと企みました。
結果
@null
— テツポンド (@tetspond) 2023年3月19日
とくせいガード持ちのサーフゴーでかたやぶり持ちを完封しました。特性ガードには、特性無効化を無効化するという隠れ効果があります。マイナー道具が活躍して面白かったです。#絡め手カップ
11勝3敗1引き分け(うち太鼓指カイナで1-1)
レート1597 2位
富豪2敗:回復+砂無効+HP195以上の相手 pic.twitter.com/idrRJW91n4
HB みがわり 再生 砂嵐 あやしいひかり
試合数上限15試合
チームの他のポケモン:テツノカイナ ヤミラミ ブリムオン ルチャブル メタモン
サーフゴー@とくせいガードで
10勝2敗1引き分けという戦績でした。
2敗は、VSまもるトリトドンの判定負け VSはがねテラスタルオーロンゲ(みがわり、ねむる、ふういん)の判定負け
1引き分けはサーフゴーミラー
でした。
1位のレートには5だけ届きませんでしたが、良い成績を取れました。対戦数上限まで戦ったのでやり切った感はあります。
主催の方の大会振り返り記事
(主催者さん、総合時間切れによる判定勝ちを狙えばサーフゴーに勝てるので、それを工夫すればサーフゴー怖くないですよー 今回はノーマークだったから脅威だっただけです)
上記記事内に「とんでもない仕様」と書かれていますが、主催者身内で騒ぎになっていたようです。あまりに聞いたことがない仕様であるためデカヌチャンとロトムで検証したとのことでした。
大会関連ツイート
#絡め手カップ サーフゴーに挑発効かないのなぜ?型破り意味ないの? https://t.co/eAMw3matK6
— ガゲ浪ポリス (@gagyelop) 2023年3月19日
俺も主催も知らんかったし知ってる方がおかしいまである
— うぱー (@nohito_194) 2023年3月19日
<大会でのサーフゴーのデータ>
ポケモンHOMEから
一緒にいるポケモン 上位
オーロンゲ ルチャブル リククラゲ ハバタクカミ ゲンガー タギングル エーフィ ブリムオン サケブシッポ ヤミラミ
技上位
じこさいせい 66.8 砂嵐65.8 トリック45.8 あやしいひかり43.2 みがわり41.6 ねむる18.4
後4つ(ゴルラシャドボ14.2・おどろ体当たり12.6):違反
性格
ずぶとい41.4 ひかえめ22.4 のんき20.7 おくびょう15.5
道具
とくせいガード22.4 どくどくだま20.7 たべのこし17.2 こだわりスカーフ15.5 ゴツゴツメット13.8 メンタルハーブ10.3
テラスタル
ゴースト100%
特性ガード持ちが一番割合多いですが、たしか剣盾では道具・性格・特性の割合は選出された回数で決まっていて、それと同じなら、単純に13回もとくせいガードを出した一人の人間によるものという可能性があります。
テラレイドバトル
とくせいガードは、テラレイドバトルの敵が使うことがある、「1ターン限定のとくせいなし状態付与」も防げます。
みずテラスタルカイオーガのテラレイドバトルなんかが開催されたとき、特性ちょすいのトリトドンなど水無効特性が重宝されることになりそうです。
そんなとき、特性を無効化されて大火力の水技を叩き込まれるということが起きると大惨事ですが、とくせいガードを持たせるとそれを防ぐことができます。
今でも普段マリルリにとくせいガードを持たせている人がいるみたいです。(特性無効は1ターンだけですし、基本はかいがらのすずがいいと思うのですけれどね……)
まとめ
特性ガードの使い方
普通の対戦
・かたやぶり効果が多い環境で、絶対に攻撃を耐えたいミミッキュに持たせる
それ以外
・かたやぶりが環境で存在感がある特殊ルールで、かたやぶりの役割対象とされているポケモンに持たせる
・テラレイドバトルで、防御面での特性を買われて採用されているポケモンに持たせる
おわりに
マイナーアイテムが対戦で活躍できないか考えるのは楽しいです。
いまだに、剣盾のポルターガイスト1on1でナゾのみが一番優秀な持ち物だったことに対する感動が残っています。
お読みいただきありがとうございました。
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