パルデアでも相手をなまけにしてロックしたい
はじめに
ポケットモンスタースカーレット・バイオレットの特殊ギミック戦術考察記事です。
「なまけ」とは、2回に1回しか行動できないデメリット効果の特性です。この特性を相手に渡しつつ交換も封じ、2回に1回だけ行動するターンに「まもる」を使うなどして相手をロックする戦術があります。
今回はこの戦術について考えます。
なまけなかまづくりアイアントの不在
前作ソードシールド(第八世代)で今回のような戦術をする場合、必ず(本当に100%)構築に入ってくるポケモンがいました。それがアイアントというポケモンです。
第八世代においては、特性がなまけのポケモンがアイアントしかいなかったというのはあったのですが、アイアントにはこの戦術と相性がいい技がありました。それが「なかまづくり」です。この技は相手の特性を自分と同じ特性にするという効果を持つため、なまけアイアントがこの技を使うことで一手で相手になまけを付与することができました。
しかし、今作スカーレット・バイオレット(第九世代)では、アイアントがいません。特性なまけのポケモンとしてケッキング系統がいるため、かろうじてこの戦術をできる余地が残されているのですが、一手で特性を渡すことができないため、なかなか難しそうです。
このパルデア地方でどのような戦術ができるか、考えていきます。
シングルのなまけ付与方法
1VS1のシングルバトルにおいて、相手に特性なまけを渡す方法を考えます。相手の行動は何もないものとします。
逆算で考えていきます。
(1)相手にトレースを渡すしかない
より、現在のパルデア地方で相手になまけを渡す方法として使えるのは
スキルスワップ、なかまづくり、相手のトレース、相手のなりきり・うつしえ、相手のへんしんです。
・スキルスワップ・なかまづくりについては、ケッキングが覚えないので無理です。(相手を経由してなまけを得たスキルスワップ持ちがスキルスワップをすれば「なまけポケモンによるスキルスワップ」は実現できるのですが、それができる時点で相手になまけが渡っているため目的を達成していて、そんなことをする必要がありません)
・相手のなりきり・うつしえ・へんしんは相手依存なのでダメです。今までのポケットモンスターでは、相手に狙った技を出させる動きは不可能です。
・トレースについては、相手のサーナイトによるトレース発動は相手依存なのでダメですが、こちらからトレースを渡すという方法を取れればOKです。
相手にトレースを渡すしかない、ということになりました。
(2)相手にトレースを渡した際にトレースが発動しないようにしないといけない
相手にトレースを渡すと、通常はすぐに相手のトレースが発動し、自分の特性(トレースを渡す直前まで相手が持っていた特性)をコピーし、特性トレースは消えてしまいます。
そのため、相手のトレースが発動しないようにしなければなりません。方法をいくつか考えました。
a いえき
相手にいえきを使い特性を無効化し、トレースの発動を防ぐ
いえきの解除手段がなく、相手のトレースがずっと発動しないため、本末転倒です。
b とくせいガード
相手にとくせいガードを渡してその効果によりトレースの発動を防ぐ
トレースを渡そうとするタイミングで相手がとくせいガードを持っている必要があるわけですが、相手がとくせいガードを持っていると特性書き換えが無効なのでトレースを渡せないというジレンマがあります。
c 特殊な特性
相手のトレースが発動するときにこちらの場に”トレースでコピーできない特殊な特性を持ったポケモン”がいることにより、相手のトレースの発動を防ぐ
”トレースでコピーできない特殊な特性を持ったポケモン”がこちらの場にいる状態で、相手にトレースを渡す手段がないです。
3つともダメです。つまり、無理です。
ダメ押しで、もう一つ無理なことがあります。
こちらからトレースをスキルスワップで渡すためには、こちらのトレースも発動しないようにしておかないといけません。通常、トレースは場に出たタイミングですぐに発動してしまいます。
それも無理です。
方法として、相手にマジックミラーを渡す→ナマコブシがいえきを使い、マジックミラーに跳ね返してもらう→バトンタッチでいえきをサーナイトに引き継ぐというものがあるのですが、今作にはナマコブシのようないえきとバトンタッチを両立できるポケモンが存在しません(前作の時点で両立するのはナマコブシだけでした。過去作技を含めるとキレイハナやチョボマキなどもいます)。
結論 シングルでは無理
何か方法を思いついた方がいれば教えていただけるととても嬉しいです。
ダブルのなまけ付与方法
ダブルの場合、ケッキングにスキルスワップかなりきりを使って味方のポケモンの特性をなまけにした後、相手にスキルスワップかなかまづくりで特性を渡せばいいので、実現する方法があるかどうかというところは問題ないです。
相手2体をなまけにしてロック
前作でのこのタイプの構築
今回考えた戦術
今作からしんかのきせきが適用されるようになったオドシシを使います。なりきりとスキルスワップを両立するポケモンの中で一番耐久が高いです(今作なりきりを覚えるポケモンが少なく、「なりきりを覚えるポケモン」と「なりきりとスキルスワップを両立するポケモン」のどちらもジュペッタ系統とスリーパー系統しか他にいません)。いかくなしでもヤドランより総合的には硬いです。
さらに、味方にスキルスワップを使う過程でオドシシが持っていたいかくが再発動するのでシナジーがあります。
オドシシにいえきを使い、特性がなまけであっても毎ターン行動できるようにします。ちなみに、状況確認画面上ではいえきにより「とくせいなし」状態になっていると、特性の欄が「ー」になっています。ただし内部にはそのとき持っている特性の情報があるので、スキルスワップを使えば、ちゃんとそのとき持っていた特性が相手に渡ります。
オドシシがなりきりとスキルスワップで相手2匹をなまけにします。
ゴチルゼルで交代を封じます。
相手が行動するターンはまもる、行動しないターンは自由に行動します。
<パーティー>
耐久全振りオドシシ@きせき
なんでもいいケッキング
耐久全振りゴチルゼル@オボン
<動き>
1ターン目
2ターン目
3ターン目
ケッキングは何か
相手の攻撃でケッキングの脱出ボタン発動 ゴチルゼル登場
(この時点で、相手Aは逃げられない&なまけとなる)
4ターン目
相手Aはなまけ
オドシシは相手Aになりきり なまけをコピー
5ターン目
ここまでやって成功
<戦績>
ランクバトルシーズン2 スーパーボール級 1勝9敗
内訳
ギミック成立前の片方なまけにした段階で降参 勝ち 1試合
その他 負け 9試合
ギミックあるあるで「〜〜は無理」というのは当然あるのですが、それ以前の問題として「基本の動きに無理がありすぎる」ということがありました。ダブルバトルで複数ターン生き残るのはとても大変なことです。
同じ特殊ギミックの頑丈ヌケニンがそれなりに楽しめる戦術なのは、そこそこギミックが成功するからというのもあります。相手がミミロップより後に行動するなら、タスキ持ちミミロップとがんじょうメレシーで1回攻撃を耐えるだけでOKです。
相手1体をなまけにしてロック
前作でのこのタイプの構築
【ポケモン剣盾ダブル】ともえなげ無敵ループギミックパーティー 〜なまけ+さきおくり+強制交代技で「ずっと俺のターン!」を実現〜
https://tetspond.hatenablog.com/entry/2021/10/09/201518
今回考えた戦術
ブラッキー(オボン込みならいかく込みきせきオドシシより硬い)でケッキングのなまけを受け取り、ケッキングに相手が攻撃を集中しているうちになまけターンをやり過ごします。
その後、カジリガメのくらいつくorヤミラミのくろいまなざしで相手の交代を封じながらそのポケモンにスキルスワップでなまけを渡します。
それから、相手が2匹ともなまけるターンはまもる、相手が片方行動するターンは、ヤミラミのさきおくり・カジリガメのドラゴンテール(こうかくレンズで命中99%)により、その片方のポケモンを行動より先に手持ちに戻します。
<パーティー>
耐久全振りブラッキー@オボン
DSケッキング(@ラム)
耐久全振りカジリガメ@こうかくレンズ
耐久全振りヤミラミ@ロゼルのみ
<動き>
1ターン目
ケッキングはビルドアップorちょうはつ
2ターン目
ケッキングはちょうはつorアンコール
(迷ったらまもる対策で3ターン目における相手Aにちょうはつを入れる)
ブラッキーはなまけ
なまけが消えた(&ビルドアップを積んだ)ことによりヘイトを集めてケッキングが倒され退場
3ターン目
カジリガメは相手Aにくらいつく
4ターン目
相手Aはなまけ
カジリガメは何か
5ターン目
両方まもる
6ターン目
ヤミラミは相手Bにさきおくり
相手Aはなまけ
カジリガメは相手Bに先制ドラゴンテール
相手Bの行動スキップ
7ターン目
以降ループ
最後
ヤミラミのさきおくり+カジリガメのたきのぼりで削った相手を倒して勝ち
<戦績>
ランクバトルシーズン2 スーパーボール級 4勝16敗
内訳
ループ盤面完成・途中でループ終了 勝ち 1試合
ループ盤面完成・途中でループ終了 負け 1試合
ループ盤面完成・途中で降参される 勝ち 1試合
ループ盤面完成しなかったけど 勝ち 1試合
なまけ付与までしかいけなかったけど粘ってたら相手の時間切れで勝ち 1試合
その他 負け 15試合
まともにさきおくりドラゴンテールループを決められた試合は1回もありませんでした。
まとめ
前作は、ダイマックスに対してスキルスワップやなかまづくりが効かなかったので、特性付与ギミックは決まりにくかったです。今作でダイマックスがなくなり、特性付与ギミックにとって追い風かと思ったのですが、マタドガスもアイアントもいないという状況で、なかなか厳しかったです。
ちなみに、今回取り扱った戦術はいずれも味方殴りでループから抜けることができるので、たとえアイアントやマタドガスがきて戦術が改善されても本当の実戦級になることはないと思います。
豆知識
みちづれ状態でテラスタルするとみちづれ状態が解除されるという仕様があります。
これと関係がある仕組みなのか、相手がテラスタルしたターンに相手の特性をなまけにすると、相手がそのターンなまけるという仕様があります。普通はそのターンは動いて次のターンになまけるのですが・・・・・・。メガシンカとダイマックスでも同じような仕様だったので、みちづれとは関係ないかもしれません。
おわりに
勝つことを一番の目的とはしていないにしても、勝率が3割を下回るとさすがに楽しさが少なくなってくるので、今回紹介したダブルの構築はしばらく使わないと思います。
スーパーボール級の底まで落ちてしまったので、色眼鏡噴火か純正滅びあたりでマスターに上げようと思います。せっかくブラッキーを育てたので、今度は味方の特性を変更する必中一撃必殺ギミックで遊ぶのもいいかもしれないと思っています。
強いポケモンが増える前に、いろいろなギミックを楽しみたいものです。
お読みいただきありがとうございました。
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