ポケモンHOMEを介したソフト間移動をしたときの剣盾廃止技の扱いについて調べたい
はじめに
ポケモンHOMEを介したポケモンの移動についての疑問のうち、ポケットモンスターソード・シールドで使うことができない技について検証する記事です。
ポケモンの技には、「ソード・シールドで使用不可能な技」という技のカテゴリが存在します。めざめるパワー、おいうちなどが該当します。
該当する技の一覧
カテゴリ:ソード・シールドで使用不可能なわざ - ポケモンWiki
該当する技の仕様
https://wiki.ポケモン.com/wiki/わざ一覧_(第八世代)#使用できないわざ
剣盾以降のソフトでは技の廃止が行われています。ただ、剣盾のみ、そのソフトで廃止された技を覚えたポケモンをゲーム内に連れてくることができます。
剣盾廃止技、剣盾削除技などと呼ばれることもあります。
ポケモンHOMEでは、ソフトからソフトへポケモンを移動させる場合、それぞれのソフトで覚えていた技が記録されます。あるソフトにあるポケモンを移動させるときは、最後にそのソフトにそのポケモンがいたときの技構成で移されます。
剣盾において「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えていたこともちゃんと記録されるのかどうかなどが気になり、調べてみることにしました。
- はじめに
- 前提
- 検証1 ピカブイ→剣盾→SV→剣盾
- 検証2 ピカブイ→SV→剣盾→SV→剣盾
- 検証3 ポケモンバンク→剣盾→SV→剣盾
- 検証4 ポケモンバンク→SV→剣盾→SV→剣盾
- 検証5 ポケモンバンク→剣盾 技思い出し
- 検証結果まとめ
- その他
- 参考記事
- おわりに
前提
この記事では、剣盾はソード、SVはバイオレットと読み替えてください。
以下のバージョンで検証しています。
ポケットモンスター ソード Ver1.3.2
ポケットモンスター バイオレット Ver1.3.1
ポケモンHOME Ver3.0.0
ここでいうポケモンHOMEとは特に断りがなければSwitch版をさします。
ポケモンHOMEを介した技の取り扱いには、すでに参考になる記事が存在しているため、これと照らし合わせながら検証していきます。
検証1 ピカブイ→剣盾→SV→剣盾
ピカブイ産中国ラッキーを用意します。後に出てくる別のラッキーと区別がつきやすい中国語ニックネームになっている個体です。
ポケモンHOMEのGTS交換でこのラッキーを手に入れたとき、このラッキーの技構成は
「うたう タマゴばくだん ひかりのかべ すてみタックル」でした。
このラッキーはレベル57であり、ピカブイでレベル57の時点で覚えられるレベル技のうち習得レベルが高いものを上から4つ覚えています。
今回、「タマゴばくだん」が「ソード・シールドで使用できないわざ」であるため、ここに注目していきます。
1 剣盾に移動
ポケモンHOMEと剣盾を繋ぎ、この中国ラッキーを剣盾に移します。
ポケモンHOMEと剣盾を繋いでいるとき、SV産のポケモンの技は剣盾で覚える技になって表示されます(例:SVでトリックルームを覚えていたSV産イエッサンメスは、このとき、トリックルーム抜きの技構成になっている)。
しかし、ピカブイ産のポケモンの技はそのまま表示されます。タマゴばくだんは、ラッキーが剣盾で覚えない技ですが、中国ラッキーの技構成は「うたう タマゴばくだん ひかりのかべ すてみタックル」のままです。
ラッキーをHOMEの画面上の操作でSV側のボックスに移動させると
『?』アイコンが ついた ポケモンは レポートを
すると 引き出せるソフトが 少なくなります
というメッセージが出ます。
ピカブイ産のポケモンは、最初は、ピカブイに引き出せるピカブイ順応個体ですが、一度剣盾以降のソフトに引き出すと剣盾以降順応個体に変わり、ピカブイ順応個体ではなくなってしまいます。上記メッセージはそのことを注意喚起しています。
今回は、移すことが目的なので、無視します。
中国ラッキーを剣盾に移した状態で、セーブします。このときも注意喚起をしてくれます。今回は関係ないですがこの仕様は親切で良いです。
2 剣盾で確認
剣盾を起動すると、中国ラッキーは「タマゴばくだん」を覚えたままでした。
セーブして剣盾を閉じます。
3 HOMEに移動
HOMEを起動し、剣盾と繋ぎます。
中国ラッキーをHOMEに戻します。このときも「タマゴばくだん」を覚えたままでした。
4 SVに移動
HOMEを起動し、SVと繋ぎます。
ポケモンを初めてSV側のボックスに移動させたときにそのポケモンが覚えている技はSVでのレベル技となります。
よって、中国ラッキーはこのとき「タマゴばくだん」は覚えていません。技構成は、「すてみタックル タマゴうみ とっておき いやしのねがい」です。
技思い出し機能を使っても、当然SVラッキーが覚えることができる技の中に「タマゴばくだん」はないので、思い出せる技の一覧に「タマゴばくだん」はありません。
SVに中国ラッキーを移し、セーブします。
5 SVからHOME、HOMEから剣盾に移動
SVを起動し、やはり「タマゴばくだん」を覚えていないことを確認した後、セーブして中国ラッキーをHOMEに戻します。
それからHOMEと剣盾を繋ぐと、中国ラッキーは「タマゴばくだん」を覚えている状態になっています。ソフトごとに覚えている技を記憶するという仕様なので、剣盾で覚えている技として「うたう タマゴばくだん ひかりのかべ すてみタックル」という技構成が呼び出されているのです。
剣盾に中国ラッキーを移して、剣盾を起動すると、中国ラッキーはタマゴばくだんを覚えていました。
6 その他
中国ラッキーがポケモンHOMEにいる状態でポケモンHOMEを単独で開き、技の表示切替をしようとしても、ピカブイは選択できませんでした。表示切り替えで見ることができるのは、剣盾とSVだけでした。
しかし、スマホ版ポケモンHOMEでは、技の表示切り替えで、ピカブイ・剣盾・SVの3つでの技を確認することができました。ピカブイでの技構成にはタマゴばくだんが含まれていました。
検証2 ピカブイ→SV→剣盾→SV→剣盾
ピカブイ産の英国ラッキーを用意します。検証1に登場した中国ラッキーとは別個体のラッキーです。
こちらもレベル57で、技構成が「うたう タマゴばくだん ひかりのかべ すてみタックル」でした。
1 SVに移動
HOMEとSVを繋ぎます。
このとき、英国ラッキーが覚えている技の表示は、SVのレベル技になっています。
SV側のボックスに移し、セーブします。
2 SVで確認
SVを起動すると、やはり英国ラッキーの技構成はHOMEでセーブしたときの状態のままでした。
英国ラッキーのすてみタックルをひやみずに変えて、「ひやみず タマゴうみ とっておき いやしのねがい」という技構成にした後、セーブしました。
3 HOMEに移動
HOMEを起動し、SVと繋ぎます。
英国ラッキーをHOMEに戻します。このときも技構成は「ひやみず タマゴうみ とっておき いやしのねがい」のままでした。
4 剣盾に移動
HOMEと剣盾を繋ぐと、英国ラッキーの技構成は「すてみタックル タマゴうみ とっておき いやしのねがい」でした。
これは、剣盾でレベル57ラッキーが覚えるレベル技のうち上から4つです。
検証1のときと違って、「タマゴばくだん」が入った技構成は表示されません。
剣盾に移してセーブします。
5 その後
剣盾を起動してもやはり技構成は「すてみタックル タマゴうみ とっておき いやしのねがい」でした。
この後、英国ラッキーをSVに移動させ、もう一度剣盾に持ってきましたが、剣盾での技構成は変わりませんでした。
また、剣盾に移動させるときの技思い出しの一覧にタマゴばくだんはありませんでした。
ポケモンHOMEを単独で開き、技の表示切替をしようとしてもピカブイは選択できませんでした。選択できるのは剣盾とSVだけです。
しかし、スマホ版ポケモンHOMEでは、技の表示切り替えで、ピカブイ・剣盾・SVの3つでの技を確認することができました。ピカブイでの技構成にだけはタマゴばくだんが含まれていました。
検証3 ポケモンバンク→剣盾→SV→剣盾
USUM以前産のポケモンは、ポケモンバンクを経由してポケモンHOMEに預けられます。
GTS交換でゲットした「きりふだ」を覚えたイーブイで検証をやっていきます。「きりふだ」も、「ソード・シールドで使用不可能なわざ」です。
1 剣盾に移動・剣盾を起動
手に入れたときのままの技構成で剣盾に移動できました。「きりふだ」を覚えたままです。セーブします。
2 剣盾からHOMEに、HOMEからSVに移動
剣盾からHOMEにイーブイを戻します。
HOMEをSVと繋ぐと、イーブイの技構成は、「バトンタッチ とっしん あまえる すてみタックル」と表示されました。
3 SVを起動
技構成は「バトンタッチ とっしん あまえる すてみタックル」でした。セーブします。
4 SVからHOMEに移動、HOMEを単独起動
イーブイをHOMEに戻します。
ここで、HOMEを単独で起動します。
イーブイの技構成は最初は「バトンタッチ とっしん あまえる すてみタックル」ですが、表示切替で剣盾を選ぶと、「きりふだ」を含む技構成になりました。
5 HOMEから剣盾に移動、剣盾を起動
HOMEと剣盾を繋ぎ、イーブイを剣盾に移します。
「きりふだ」を覚えた状態で写すことができました。
剣盾を起動すると、ちゃんと「きりふだ」を覚えたままのイーブイがいました。
検証4 ポケモンバンク→SV→剣盾→SV→剣盾
ポケモンHOMEのGTSで手に入れた、レベル25のケンタロスで検証をやっていきます。
手に入れた時点での技構成は「こわいかお おいうち ねむる しっぺがえし」です。
「おいうち」が「ソード・シールドで使用不可能なわざ」です。
1 HOMEからSVに移動、SVを起動
HOMEとSVを繋ぐと、ケンタロスの技構成は「しっぺがえし ダメおし つのでつく こわいかお」となりました。
SVを起動しても、同じ技構成です。セーブします。
2 SVからHOME、HOMEから剣盾へ
HOMEとSVを繋ぎ、ケンタロスをHOMEに戻します。
HOMEと剣盾を繋ぎます。
このとき、ケンタロスの技構成は「こわいかお おいうち ねむる しっぺがえし」となっていました。
3 剣盾起動
剣盾でもケンタロスの技構成は「こわいかお おいうち ねむる しっぺがえし」となっていました。
4 その後
再びSVに移してから剣盾に戻しても、剣盾の中での技構成は維持されました。
検証5 ポケモンバンク→剣盾 技思い出し
「ソード・シールドで使用不可能な技」である「ピヨピヨパンチ」を覚えています。
1 HOMEから剣盾へ+技思い出し
HOMEを剣盾と繋いで、ミミロルを剣盾側のボックスに移します。
そして、技思い出しで、「ピヨピヨパンチ」の枠を「はねる」に変えます。
変えた後、「はねる」を別の技に変えようとしても、ピヨピヨパンチは候補に出てきません。(思い出しで思い出せるのはそのポケモンが剣盾で覚えることができる技だけなので、当然ではあります。)
その状態で保存します。
2 剣盾を起動
剣盾を起動しても、ミミロルのピヨピヨパンチはやはり消えたままです。
3 その後
ミミロルをポケモンHOMEに戻し、再び剣盾に移しても技構成は変わりませんでした。
スマホ版ポケモンHOMEを見ると、ミミロルの技構成は、剣盾の技構成とポケモンバンクでの技構成を確認できます。
驚くべきことに、ポケモンバンクの技構成も、ピヨピヨパンチではなくはねるになっていました。参照記事に書かれていた、「剣盾の技=ポケモンバンクの技」という仕様です。
検証結果まとめ
・「ソード・シールドで使用不可能なわざ」も、その技を覚えた状態で剣盾のボックスに保存されれば、剣盾で覚えていたわざとして記録される。
一度SVに移してから剣盾に戻しても、剣盾で覚えていた技として維持されている。
ソードシールドで使用可能な他の普通の技と同じような扱われるという結果でした。
・ピカブイ産のポケモンは、最初にピカブイ以外のソフトに移動させるときに、その移動先が剣盾なら「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えている状態を維持する。
一方、その移動先がSVだと、剣盾に移しても「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えていないし、思い出せない。
最初に引き出したのが剣盾だった中国ラッキーはタマゴばくだんを維持し、最初に引き出したのがSVだった英語ラッキーはタマゴばくだんを覚えられない・思い出せない状態になりました。
最初に剣盾に移せば、その際に剣盾での技構成をタマゴばくだん入り技構成で記録できますが、最初にSVに移すと、あとで剣盾に移動させたときに、SV産のポケモンが初めて剣盾に移るときのような取り扱いをされてしまいます。
・ポケモンバンク出身のポケモンは、最初にSVに移動させてから剣盾に移しても、技構成がSVへ移動させる前の時点の「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を含んだものになる。
参照記事にあったように、ポケモンバンクでの技構成と剣盾での技構成は同一視されるという仕様に基づいて考えると、一度も剣盾に行ったことがなくても、剣盾での技構成としてポケモンバンクの技構成が記録されているのでしょう。
そのため、SVに移した後に初めて剣盾に移すときも、剣盾での技構成としてタマゴばくだん入りの技構成が呼び出されるようです。
(追記)
ポケモンGOについても技構成が剣盾と同一視される仕様になっていることを踏まえれば、ポケモンGOからのポケモンは、ポケモンバンクからのポケモンと同じような結果になると考えられます。2023/6/25現在、HOMEにいるポケモンGO産の127匹のポケモンのうち、剣盾とSVのどちらにも連れていけて「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えているポケモンがいないため、検証できていません。
・剣盾に移動させるときに技思い出し機能で、「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を消すと、二度と戻らない。
剣盾以前のソフトから剣盾にポケモンを移すときは、そのポケモンが剣盾の中では覚えられない技も覚えさせたまま移すことができます。
しかし、技思い出し機能は剣盾の中で覚えられる技だけを思い出せるため、「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を思い出すことはできません。
剣盾での技構成が変化すると、ポケモンバンクでの技構成もそれと一緒に変化するため、「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えていた記録がどこにもなくなってしまい、二度と戻らなくなってしまいます。
その他
HOMEのわざ思い出し機能 - つのぽけブログ の検証15の中で、ポケモンGOからポケモンHOMEにポケモンを移したときにそのポケモンが覚えている技については、以下のようになっていると予想されていました。
剣盾に引き出せるポケモン:剣盾でそのレベルまでに覚える最後の4つの技
剣盾に引き出せないポケモン:USUMでそのレベルまでに覚える最後の4つの技
この予想が正しければ、ポケモンGO産の「ソード・シールドで使用不可能なわざ」を覚えていることと剣盾に引き出せるポケモンであることを両立するポケモンはいないはずです。
しかし、実際には、サイコウェーブを覚えたポケモンGOマーク付きのスターミー(2021/12/8にポケモンGOで出会ったという記録付き)を剣盾に連れてくることができました。
まだ調べきれていないですが、概ね上記の予想はあっているものの、どうやら初代のポケモン=ピカブイ登場ポケモンは、ピカブイでそのレベルまでに覚える最後の4つの技になるっぽい感じがあります。
詳しい記事はまた別の機会に書くかもしれません。
(追記) 書きました。
予想どおり、初代のポケモン(アローラリージョンを含む)は、ピカブイでそのレベルまでに覚える最後の4つの技になります。
参考記事
(追記)
BDSP、LアルセウスとポケモンHOMEが連携したときの記事
ソフトごとに技を記録する仕組みはこのとき(Ver2.0.0)から
おわりに
剣盾以外のソフトでは、そのソフトでポケモンが使用可能なわざとそのソフトでポケモンが覚えていられるわざは一致していますが、剣盾だけが一致しません。
開発チームの中で、技データ管理の方針の変更があったのだろうなあと考えています。
この記事のテーマとはずれますが、ねこのてが剣盾以降のソフトで使用不可で悲しいです。
こういう複雑な検証は頭を使います。成果の数はそう多くはないのですが、とてもエネルギーを使いました。
こういう記事は、思い込みなどで間違いを含んでしまっていることがあるため、何か気づいたことがあればお伝えください。
お読みいただきありがとうございました。
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