ニドキングがどくどく後につのドリルを必中で放つあの現象はどのように広まっていったのか、気になる
※ 追記
今回扱う現象はアップデートで修正されました。修正までの出来事も追記しました。
はじめに
どくタイプのポケモンが技「どくどく」を使うと、必中になります(相手が「そらをとぶ」などで消えていても命中)。ところが、この必中効果はそのターンの間残るようなのです。
特別な方法を使ってどくタイプのポケモンに1ターンにどくどく→他の技の順番で他の技を出させると、他の技も必中になります。日本ではツイッターで少し前にちょっとした話題になりました。
前回の記事で、この仕様を実戦で生かせないかと実用化考察を行いました。そちらも合わせてご覧ください。
今回は、この現象について、仕様が知られていく過程の時系列整理をしていきます。
バグと呼ぶものなのかは議論の余地がありますが、呼びやすさのために今回はこの現象を「どくどくバグ」と呼びます。
※ツイートなどの引用は著作権に問題がない形で行っています。
- はじめに
- この仕様についての時系列
- 第六世代がスタートする
- どくどくの必中効果に関する不具合のツイートが投稿される
- bulbapediaのどくどくのページにどくどくバグが追記される
- 初のどくどくバグ確認ツイートが投稿される
- 前述のツイートの和訳ツイートが投稿される
- みらいよちも必中になること・第六世代から存在することを確認した動画がTwitterに投稿される
- ポケモンwikiのどくどくのページにどくどくバグが追記される
- マジックミラーでもどくどくバグが起きることがポケモンwikiに追記される
- Twitterにどくどくバグ再現動画がついた日本語ツイートが投稿される
- 日本で初めてどくどくバグの動画がyoutubeに投稿される
- チャンネル登録4桁以上の投稿者によりどくどくバグの動画が投稿される
- bulbapediaにマジックミラーでも起きることやその他詳細が追記される
- 海外でマジックミラー軸の案がツイートされる
- マジックミラー軸の動画が投稿される(おそらく世界初)
- 日本でマジックミラー軸の案が書かれる(おそらく初)
- どくどくバグを主軸とした構築記事が書かれる(おそらく世界初)
- どくどくバグを戦術とした動画が投稿される(おそらく日本初)
- アップデートでどくどくバグが修正される
- どくどくバグ修正を示す動画がTwitterに投稿される
- おわりに
この仕様についての時系列
第六世代がスタートする
2013年10月12日(ポケモンX・Yの発売日)
第六世代から、どくタイプが技「どくどく」を使った場合、必中するという仕様が追加されました。このときから、どくどくバグが存在します。
どくどくの必中効果に関する不具合のツイートが投稿される
2019年12月9日
画像とかないけど、レイドでドクロッグがウオノラゴンにどくどく外したんだけどなんでやろ。
— エル (@l_7gentrainer) 2019年12月9日
毒タイプのどくどくって必中じゃなくなったん?
レイドバトルでどくタイプのどくどくが外れる現象が報告されました。この他にも定期的にこのようなツイートはされています。動画付きのツイートも中にはあります。
この現象について、現在でもしっかり解明されているわけではありませんが、こちらの方の考察が参考になります。今回のどくどくバグとも関連がある可能性があります。
どくどくには「どくタイプのポケモンがどくどくを使用したことによる必中効果はターンの終了時まで継続する」という仕様があり、どくどく以外の技にも影響を及ぼすことがある。なので実はどくどく自体に必中効果があるのではなく、「どくどくを必中にする処理」があるのではhttps://t.co/Sl1rXauaqE
— 586さん (@586) 2020年10月31日
bulbapediaのどくどくのページにどくどくバグが追記される
日本時間2020年10月30日 2:28 ?
bulbapediaの他のページに時刻として表示されていたUTCなら、上記時間ですが、ページに載っている「10月29日 17:28」どこの時刻なのかは不明です
どくタイプのどくどく必中効果の後ろに、「もしポケモンが同じターンにどくどくの後追加の行動に成功した場合(さいはい・おどりこを介してのみ可能)、必中になる」と書かれました。約一時間半後に「さいはい・おどりこを介してのみ可能」が「さいはいによってなど」に変更されました。
初のどくどくバグ確認ツイートが投稿される
日本時間10月30日 3:24
Battle mechanics researcher SadisticMystic finds that if you use Toxic during the turn, it sets ALL of the Pokemon's moves to sure-hit accuracy until the end of the turn - not just Toxic. You can use this with Instruct to get sure-hit Horn Drill OHKOs with Nidoking! pic.twitter.com/MjKAb6jCFF
— Leonard Craft III (@DaWoblefet) 2020年10月29日
どくどくバグを再現した動画を載せてどくどくバグを報告する英語のツイートが投稿されました。
「toxic Horn Drill」や「toxic OHKO」などでTwitter検索しても、このツイートより前のどくどくバグについてのツイートは見当たりませんでした。このツイートが初出だと思われます。
前述のツイートの和訳ツイートが投稿される
日本時間10月30日 7:27
毒タイプがどくどくを使うと、そのターンが終わるまで、全ての技が必中になるという現象が確認されました。
— KYU (ポケマネなど開発者) (@monja49) 2020年10月29日
どくどくとつのドリルを覚えるニドキンクは、さいはいなどで2回行動させればつのドリルを必中で打てるようになります。 https://t.co/of0ZU3Vq8A
前述の英語のツイートを引用する形で、どくどくバグの存在を日本語で知らせています。
みらいよちも必中になること・第六世代から存在することを確認した動画がTwitterに投稿される
日本時間10月30日10:11
どくどく必中状態がターン終了まで維持されることを第六世代のみらいよちでも確認 pic.twitter.com/f3igTaVxTy
— ザッギョ (@zakocky) 2020年10月30日
ポケモンwikiのどくどくのページにどくどくバグが追記される
日本時間10月30日 10:18
wiki.xn--rckteqa2e.com 「どくどくを使用したどくタイプのポケモンが、同じターンにさいはいの効果で別のわざを使用したり、みらいよちの攻撃を行った場合も必中になる」と追記されました。
マジックミラーでもどくどくバグが起きることがポケモンwikiに追記される
日本時間10月30日 13:09
https://wiki.ポケモン.com/w/index.php?title=どくどく&diff=next&oldid=480690
編集はZaggyoさんです。
Twitterにどくどくバグ再現動画がついた日本語ツイートが投稿される
日本時間10月30日18:45
どくどく つのドリルのバグを試してみました。
— テリーさん(かじやん) (@KAJI_TERRY) 2020年10月30日
※ギラティナにはつのドリルがノーマル技のために効果がないようだ…。になるのを防ぐためにあえて狙いの的を持たせていますが、本来なら命中率30でシャドーダイブ中につのドリルは当たらないはずです。 pic.twitter.com/sFLpLk2bZn
確認できる中では、日本で最古の再現動画ツイートです。
日本で初めてどくどくバグの動画がyoutubeに投稿される
日本時間10月30日17:34頃
(twitterの動画投稿告知時刻が17:34)
https://twitter.com/syaronalex/status/1322094407902851072
少し前半部分の説明に間違いがありますが、全体的に検証動画としての質は高いです。
トリックルームの1809現象とどちらが対戦に影響があるかについて、動画内で語られていましたが、興味があればこちらの記事を読み比べてみてください。
【ポケモン】対トリックルーム最終兵器 〜すばやさ1808を超えれば先制〜 #1809現象実戦編 - テツポンドのブログ
【ポケモン】どくどくの仕様を利用した必中一撃必殺の実用化考察 - テツポンドのブログ
チャンネル登録4桁以上の投稿者によりどくどくバグの動画が投稿される
日本時間10月30日午後 (19時頃か?)
https://www.youtube.com/watch?v=FHqGepZKF4s
話題になったツイートの手順をまねしていますが、元ツイートと違いつのドリルの対象が消えていない(あなをほるなどで隠れることで通常ならつのドリルが当たらないような状態にすることをしていない)ので、本当に必中効果があるのか示せていないため、検証の質は低いです。また、つのドリル使用者と対象者にレベル差があることで、通常の場合のつのドリルの命中(命中=30+使用者のレベルー対象者のレベル)も上がっているため、この点からも検証としては良くないです。
11月11日時点で4桁以上の再生がされているどくどくバグ関連動画は日本ではこの動画だけです。
bulbapediaにマジックミラーでも起きることやその他詳細が追記される
日本時間10月30日23:58 ? (bulbapediaの時刻がUTCの場合)
https://bulbapedia.bulbagarden.net/w/index.php?title=Toxic_(move)&diff=next&oldid=3269539
どくタイプのどくどく必中効果の文章の後に、「これは1ターン続く一時的なフラグを作ることで成り立ちます。」という文が追加されました。また、「このフラグは、どくどくが普通に選択されたか、さいはいによって繰り返されたか、マジックミラー持ちどくタイプの反射で跳ね返されたかに関係なく、行動の途中で設定される」「はがねタイプであったり既にどく状態であったりしてどくどくが失敗し続けた場合でもフラグは立つが、かなしばり・ちょうはつ・ふういんでどくどくが妨げられた場合はフラグは立たない」と書かれました。
海外でマジックミラー軸の案がツイートされる
日本時間 10月31日1:27
Given the new discovery with Toxic and Instruct, here's a setup that offers a bit more turn flexibility
— Slug (@kingofslug) 2020年10月30日
Horn Drill + weak spread move on Nidoking
Skill Swap on magic bounce eject button espeon/xatu
fast poison/steel type with toxic
guaranteed ohkos gghttps://t.co/HVLsUlVrKH
下記の記事と似た発想です。海外には先駆者がいたようです。
【ポケモン】どくどくの仕様を利用した必中一撃必殺の実用化考察 - テツポンドのブログ
マジックミラー軸の動画が投稿される(おそらく世界初)
日本時間2020年11月1日0:32
下記の記事の実用化案③と同じ要領で実戦を行っています。この動画では、どくどく役はクロバットです。
【ポケモン】どくどくの仕様を利用した必中一撃必殺の実用化考察 - テツポンドのブログ
すべてを聞き取れていませんが、5戦やって4戦は失敗したと言っているように聞こえました。現地時間ではハロウィンなので、ハロウィン企画としてやったようです。良い小ネタです。
日本でマジックミラー軸の案が書かれる(おそらく初)
日本時間 2020年11月4日
どくどくバグの実用化についてマジックミラー軸も入れて考察した日本で唯一の文章です。
以下 2020年12月23日追記
どくどくバグを主軸とした構築記事が書かれる(おそらく世界初)
2020年12月13日
このブログの記事を読んでくださったアインズさんが、より実用性を持たせたパーティーを考えてくださりました。 参考資料として載せていただいていてとても嬉しいです。
トリックルームを絡めてナットレイをどくどく役にすることで、どく無効化と最後の詰めやすさを両立しています。対人戦でしっかり勝利を目指せるように戦略が練られています。
どくどくバグを戦術とした動画が投稿される(おそらく日本初)
2020年12月13日
上述のアインズさんの構築記事を参考にしたパーティーを使った動画です。具体的な勝ちパターンや仕様や動きの説明が丁寧で、分かりやすい動画です。
アップデートでどくどくバグが修正される
2020年12月22日
ポケモンソードシールドがVer1.3.1にアップデートされました。このアップデートで、どくタイプのどくどくの必中効果はどくどく使用時点で消えるようになりました。よって、必中効果を利用して他の技を必中で当てることができなくなりました。
アップデートの公式の内容説明にこのことは記載されておらず、後述のようにユーザー側の実験によって明らかになりました。
どくどくバグ修正を示す動画がTwitterに投稿される
日本時間2020年12月22日
Pokemon Sword/Shield version 1.3.1 appears to have fixed the Toxic accuracy exploit. https://t.co/A0oM2JJDnQ pic.twitter.com/XOyB7hT7xS
— Anubis (@Sibuna_Switch) 2020年12月22日
.@Sibuna_Switch, @skyp1llar, and I tested about a dozen known glitches on 1.3.1 and the Toxic sure-hit bug is the only glitch that seems changed. Things like Speed overflow, Choice item lock glitch, self-target Ghost-type Curse, Dynamax Struggle with Encore Disable still exist.
— Leonard Craft III (@DaWoblefet) 2020年12月22日
その日のうちに日本語の要約ツイートもいくつか投稿されています。
おわりに
この現象は発見から2週間が立つ今ではほとんどツイートされなくなりました。この現象の実用性の無さが現れているようです。前回の記事での予想通り、「修正確実」「バランス崩壊」のような意見は間違いであったことが分かります。
この実用化考察の後半の案ならロマン砲としてはいけそうですが、日本でこの案を実行する人はいるのでしょうか……?
【ポケモン】どくどくの仕様を利用した必中一撃必殺の実用化考察 - テツポンドのブログ
仕様の穴をつくのが好きな方はこちらもどうぞ。
2020/12/23追記
記事公開からアップデートでの修正までの出来事を追加しました。
アインズさんの構築記事は、本ブログ初のブログ被掲載だったので嬉しかったです。ブログへの投稿を始める前にアインズさんの記事をいくつも読んでいたので、今回の件で関わりを持ち始められたことも嬉しかったです。
修正はされましたが、この件で生み出された記事や動画の価値がなくなるわけではないと思っています。例えばフリーフォール(バグ多発技・今は廃止)の仕様を利用した構築記事があれば私は読んでみたいと思いますし、これらの記事なども同様のものとして、興味がある人に楽しんでもらえたらいいなと考えています。
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(約5000字)(+追記 約1500字)