絶対に負けないというロマンを(とてもしょーもない形ではあるものの)実現できたので共有したい
はじめに
ポケットモンスタースカーレット・バイオレットの特殊ルール1on1仲間大会の記事です。
「0ターンで試合終了」いわゆる0ターンTODや、「絶対に負けない」が実現された稀有な大会となり、知識・経験上語れることが多いので、記事を書くことにします。
大会概要
2024/10/18(金) 21:00~22:59
10/18 21時~
— #141414くらい (@334_shirimasen) 2024年10月12日
仲間大会を開催します
1匹のみ登録でお願いします
レギュH使用可能ポケモンのみ使用可
使用可能一覧(https://t.co/I4MSsZuGDA)
試合時間の設定を1分にします
持ち物テラス制限なし
大会ID 8C3LSJ
質問等お気軽にお問い合わせください#ポケモンSV#仲間大会#1分1on1 pic.twitter.com/KPTovAlZlN
<ルール>
チーム登録:1匹
総合時間:1分
<大会IDを入力して大会に参加しようとすると分かる情報>
大会設定:ノーマルルール
持ち時間:1分
対戦回数上限:60回
0ターン1on1
実は、主催する仲間大会の案として1ターン1on1があり、試合の設定について以前から考えていました。
今回の主催者の方も、名前は1分1on1ですが、1ターン1on1をやりたかったのだと思います。
・そのルールを考えていたことがある。
・ノーマルルールの1on1仲間大会によく参加している。
・時間切れ判定に関してかなり詳しい。
という3つが揃っていたので、今回のルールを把握した瞬間に頭に浮かんだことがありました。
「H最大ハピナスで60秒かけて技選択したら、1ターン目が始まることなく試合終了の判定になって、判定でハピナスが勝つのでは?」
この考えがどのようにして組み立てられているのかを書いていきます。
選択時間60秒
1ターンの行動選択の制限時間についてです。この記事では「選択時間」と書いています。
ランクバトルでは選択時間が45秒であり、普段ランクバトルしかしない方の場合、選択時間60秒というのはあまりなじみがないと思いますが、一部のルールでは、選択時間が60秒です。
一番身近なところだと、カジュアルバトルが選択時間60秒です。
ノーマルルールも、選択時間が60秒です。
ノーマルルールは1匹のみをチームに登録することができるため、1on1仲間大会では基本的にノーマルルールが使われます。
例 https://www.youtube.com/watch?v=8AIxEHjWbyI
今回のルールもノーマルルールであり、選択時間が60秒です。
持ち時間1分・総合時間1分
時間切れ判定関係の仕様をもとに考えます。時間切れの仕様については、以前別の方(アインズさん)に情報を提供し、その方が記事にまとめています。記事も提供した情報も第八世代のものですが、おそらく第九世代も同じ仕様です。
対戦総合時間切れの判定の世代変遷における仕様の変化に関する簡易記述 - 破片影
総合時間が残り0秒になってから初めて互いのターン開始時の行動選択が終了したとき、判定勝負になります。
残りポケモン数、選出ポケモンの残りHP合計/最大HP合計(%表記時の小数点以下切り捨て)、選出ポケモン全体の残りHP合計、の順番で判定し、勝敗が決まります。
この判定については以下記事が詳しいです:TODの仕様まとめ - くらもらんと!
自分の持ち時間が0秒の状態でターン開始時の行動選択が開始したとき、負けます。
持ち時間が0になっても即試合が終わるわけではなく、ターン開始時の行動選択のタイミングまで試合が続きます。持ち時間が0になったときの行動選択では、選択時間が0になるまで行動選択をすることができます(強制的に行動選択が終了するわけではないということです)。
総合時間切れと持ち時間切れは判定タイミングが違うため、例えば、持ち時間残り10秒、総合時間残り30秒、選択時間45秒のとき、10秒に加えて持ち時間0の状態で21秒過ごして行動選択をすると、総合時間切れによって試合が終わります。
以上を踏まえて、持ち時間・選択時間・総合時間がすべて60秒である場合を考えます。
行動選択で放置すると、60秒をぴったり丸々使って一番上の技を選択することになります。行動選択が間に合わなかったときの仕様としてそういうことになっています。
強制的に技選択が行われた瞬間、持ち時間は残り0秒になっていますが、持ち時間切れの判定があるのは次のターンの行動選択開始時であるため、まだ試合は続きます。
そしてそのとき、総合時間が同時に残り0秒になります。”同時”でもそうなのか、怪しい部分はありますが、総合時間終了ということになる可能性があります。仮にそうなった場合、1ターンも経過することなく試合が終了することになります。
0ターン対決最強のポケモン
総合時間切れの判定の各項目をもとに、0ターン対決最強のポケモンを考えます。
まず、1on1であるため、残ポケ数は同じです。
次にHP割合ですが、ターン開始前にダメージを与える特性・持ち物は存在しないため、100%となります。
よって、HPの値で勝負することになります。
最もHPが高いのは個体値31、努力値252のハピナス(H種族値255)で、実数値362です。
さらに、ハピナスは、1ターン1on1でもともと有力だったポケモンです。
実際の大会で0ターンで試合終了が実現するのかは分からないですが、それでも十分戦えるので、ハピナスで参加することにしました。
ハピナスで60秒かけて技選択して勝つ戦術を、この記事で「0ターン戦術」と呼ぶことにします。
1ターン1on1
さて、一度0ターン戦術を忘れて1ターンの勝負を考えます。こちらのポケモンはハピナスです。
基本的には、まもるで判定勝ちできます。
しかし、まもるを貫通する要素が少しだけあります。
今回勝負に絡んでくるのは以下です。
・フェイント
・ゴーストダイブ+パワフルハーブ
・ハイパードリル
・パワフルエッジ(ドーブルのみ)
・いじげんホール(ドーブルのみ)
・呪い
・すなあらし
特性ふかしのこぶし持ちは今回がレギュレーションHに参加できるポケモン限定というルールのため不在、技いじげんラッシュ持ちはスケッチが失敗するため不在です。
この中で、覚えるポケモンが多いのは、フェイント、呪い、すなあらし、ゴーストダイブです。
フェイント、すなあらし、ゴーストダイブは簡単に対策できます。
フェイント:ゴーストテラスタル
すなあらし:たべのこし、ぼうじんゴーグル、いわorじめんorはがねテラスタル
これらの対策を搭載したゴーストテラスまもる残飯ハピナスを突破できる方法は限られています。その限られた敵に対しても、二択を当てれば勝てます。
きもったまカラミンゴ
フェイント:ねむるでハピナスの勝ち
※HB特化ハピナスに対して、攻撃特化格闘テラス鉢巻インファイトでちょうどぴったり確定一発
あとだしヤミラミ@パワフルハーブ
フェイント:ゴーストテラスかねむるでハピナスの勝ち
ほおぶくろヨクバリス@オボンのみ ゴーストテラス
ヨクバリスは藍の円盤でのろいを新規習得しています。このヨクバリスがゴーストテラス呪いを使うと、オボン発動1/4回復→ほおぶくろ発動1/3回復で体力が満タンになります。まもるに対して強いです。
物理攻撃:まもるでハピナスの勝ち
今回、これらの敵の一部にも安定して勝てるように、特にヨクバリスやくいしんぼう呪いを意識して、最速おうじゃのしるしなげつけるハピナスで参加することにしました。
くいしんぼうorほおぶくろでのろいを使えるポケモンは、最速でもパフュートンのすばやさ種族値65です。基本すばやさに振らないと思うので、最速ハピナスで上からなげつけるを使えます。
おうじゃのしるしをなげつけることで確定でひるませ、何もさせず、そのわずかなダメージで判定勝ちします。
これによって、上記のヤミラミ・ヨクバリスに安定して勝てるようになります。
ドーブル@こうこうのしっぽのパワフルエッジも良さそうなハピナス対策ですが、これもついでに返り討ちにできます。
代わりに、すなあらしに弱くなります。ただ、たべのこしで簡単に対策されるすなあらしでハピナスを削ろうとする人は少ないと思いますし、ハピナスが後攻をとれるなら再戦時は天候書き換えで勝てるため、軽視しました。
参加ポケモン
種族値 255-10-10-75-135-55
個体値 すべて31
努力値 252-0-4-0-0-252
性格 ようき
実数値 362-30-31-85-155-117
テラスタイプ:ゴースト
持ち物:おうじゃのしるし
特性:しぜんかいふく(不問)
技:なげつける、まもる、ゆきげしき、ねむる
<技選択>
基本:なげつける
対カラミンゴ:まもるorねむる ※いじA20振りインファイトで確定1発
対先制すなあらし再戦:ゆきげしき ※先制するならなげつけるで勝っている
確定で負ける対面は、すなおこし+攻撃くらいしか思いつきません。ただ、カバルドンもバンギラスも残飯まもるハピナスに勝てないので、採用しにくいと思います。
ほとんどには確定で勝てて、きつくてもじゃんけんで勝てば勝てます。
本番
21:15
都合により15分遅い時刻から対戦を開始します。
1試合目 R1514 ハピナス ゴーストテラス たべのこし
序盤に主催者の方が仕様を把握した場合、環境が大きく変わる、場合によってはルールが即変わり0ターン戦術を使えなくなる可能性があります。
トレーナーネーム(TN)が主催者の別ロムのTNと一致しているような気がした(たぶん記憶違い)こと、ハピナスミラーだったことから、テラスなしなげつけるを時間内に選択しました。
相手がゴーストテラスしてきたため、A252振りだったら相手がHB特化でも最低乱数以外勝ちでしたが、無振りなので急所に当てましたがたべのこしで回復されきり、満タンVS満タンで引き分けになりました。
2試合目 R1500 カビゴン ゴーストテラス
主催者の方のTNでした。呪い型だと思うので、想定どおり印なげつけで勝ち。
3試合目 R1516 ハピナス
この大会で最終3位になった方でした。この試合で、こちらはなげつけるを選択しましたが、相手が60秒をまるまる使って試合が終了しました。この試合で、0ターン戦術が可能ということが分かりました。
4試合目 2試合目の再戦 勝ち
5~7試合目 R1467 R1453 R1441 カラミンゴと連続マッチ
カラミンゴは負ける可能性があるので、60秒を使いきり0ターンで勝ちました。
@no_TL
— テツポンド (@tetspond) 2024年10月19日
0ターンで決着 pic.twitter.com/0K1P59nILR
この間はずっと瞬間1位で、レート1567まで上がりました。
この頃、主催者の方が0ターン戦術に気がつきそれについて投稿します。ルール変更の動きはありませんでした。このあたりでハピナス以外の方がほぼ撤退します。
8~14試合目
最終1位になる方(R1584)と最終3位になる方(R1548→R1559)と当たり続けます。最終1位になる方との対戦では常になげつけるをまもられました。最終3位になる方との対戦ではすべて0ターン戦術を取られました。すべて引き分けです。8試合目終了時以降ずっと2位です。
21:56
大会終了約1時間前で、「対戦相手が見つかりません」が発生します。
15試合目
21:57頃、最終1位になる方とマッチングします。引き分けで、10回目の引き分けとなります。引き分け1回でも珍しいので、引き分け10回は超珍事です。
22:00以降
全然マッチングしなくなります。ハピナスしかいなくなってみんな飽きたのだと思います。ただ、遅れて参加してきた人とマッチングして倒せれば1位になれるかもしれないので、片手で潜り続けました。
16試合目 R1500 アカツキガチグマ
22:20頃、マッチングしました。しかし、もし勝っても、1位にはレートが足りません。
0ターン戦術をとった場合、相手が萎えて即撤退する可能性があります。しかし、1ターン戦う場合、負ける可能性があると考えました。なげつけるに対してしんくうは、おんみつマント、こだわりスカーフで負けるとして、実際にはまもるで勝てたのですが、覚えないすなあらしを警戒し、まもるでも萎える可能性があるし、ということで0ターン戦術を取りました。
勝って、6勝0敗10分け、レート1581.257、2位です。
22:59
その後誰ともマッチングすることはなく、大会が終わりました。
結果
6勝0敗10分け
レート1581.257
2位
結局0ターン戦術を使ったのは4試合だけでした。
1位とは2.793差でした。もう少し早く参加していたらとは考えますが、逆にレートが下がっていた可能性もあります。
HOMEデータ
エントリー数14人
実際の参加者12人
上位から、レート1584、1581、1559、1526、1510
全ポケモン
倒した敵なし
使用率1位 ハピナス
まもる100%、ねむる56.4%、タマゴうみ43.6%、なげつける・ゆきげしき29.1%……
ずぶとい58.2%、ようき29.1%……
たべのこし38.2%、ピッピにんぎょう30.9%、おうじゃのしるし29.1%、ぼうじんゴーグル1.8%
ゴーストテラス92.3%、でんきテラス7.7%
使用率2位 カビゴン
テラバ・まもる・のろい100%、じしん68.8%、ねむる31.3%
ゴーストテラスの1/3回復実くいしんぼうが100%
使用率3位 カラミンゴ
フェイント・みきり100%、はやてがえし・なげつける64.3%、ブレバ・羽休め35.7%
ようき64.3%、がんばりや35.7%
おうじゃのしるし64.3%、ぼうごパット35.7%
ノーマルテラス66.7% ゴーストテラス33.3%
使用率4位~ ドサイドン、アローラナッシー、アカツキガチグマ
0ターン戦術に対する感想
「しょーもない」「おもんない」という意見が出てもおかしくないですが、たまにはこういうのも面白いと思います。
「0ターンで試合終了」「絶対に負けない」「10引き分け」という普段ならありえないことが実現する大会だったので、これはこれで貴重です。変化技だけ覚えてとつげきチョッキを持った初手わるあがきハピナスでも絶対に負けないという事実が面白いです。
絶対という言葉は俗っぽい動画投稿者が安易に使う誇張表現で、実際には絶対ではないことがほとんどですが、今回に関しては本当に絶対です。「絶対に負けない」というロマンを実現できたという点で、嬉しい大会でした。
1on1において、すべてに互角以上の勝負をできるポケモンというのは普通存在しなくて、仮にぶっ壊れポケモンがいたとしても、ぶっ壊れポケモンガンメタポケモン、普通のポケモン(ぶっ壊れポケモンに負けるが、ぶっ壊れポケモンのことしか考えていないポケモンには勝てる)で3すくみが形成され、環境が作られます。
しかし、今回は「ぶっ壊れポケモンガンメタポケモン」がいないルールという稀有なパターンでした。例外として挙げることができる実例に遭遇できたという点で、良かったです。
ルールを守っていれば、少し前に噂があった通信ラグTODはいいのかという問題があり、難しいところですが、今回、自分自身の結論としては、通常のプレイでできることであるため、0ターン戦術を使うことにしました。
1ターン1on1の大会設定
主催者の方が開催したかった1ターン1on1の大会設定方法について書きます。
案1
・総合時間2分、持ち時間2分以上
・ルールに「行動選択は、1ターン目は選択時間が残り6~8秒のときに、2ターン目は総合時間が残り0秒になってから、行う」を追加する。
こうすると、1ターン目の行動開始時点で総合時間残り62秒くらい、行動終了時点で総合時間残り20~40秒くらいとなり、2ターン目の行動選択終了時に試合が終了します。
これのよいところは、違反者が有利にならないところです。もし総合時間1分でN秒以内に選択してというルールにしてしまうと、違反者が60秒放置して勝ってしまう場合があります。しかし、この案なら、違反者がどう選択しようと試合にあまり影響がありません。せいぜい1ターン目の開始が遅れるくらいです。
もし自分で開くならこのルールでやろうと考えていました。
案2
・オフィシャルルール1、総合時間1分
・「2匹目、3匹目にはHP最大のハネッコとグルトンを入れる」というルールを追加する。
オフィシャルルール1では選択時間が45秒になります。そして、仲間大会では総合時間を1分に設定できます。このオフィシャルルールを使うという案です。
過去に類似大会に参加しました。
【ポケモンSV】2023年1~6月に参加した仲間大会 - テツポンドのブログ
https://www.youtube.com/live/EEMixotF6Co
しかし、大きな問題があります。オフィシャルルール1では、選出するポケモンは3匹(シングルの場合)で固定されています。
対応策として、互いの条件を同じにするため、同じHPの同じポケモンを2匹目3匹目に入れるというものがありますが、カバルドンのふきとばしが強くなるなど、環境が変わります。
案3
「制限なし」のルールの選択時間が分かりませんが、もし45秒なら、このルールでは1匹チームが可能であるため、最有力となります。
その他
選択時間60秒、総合時間1分の大会が開かれる場合、1on1ではなくても0ターン戦術が文字通りの最強戦術となります。
シングル63、レギュF・Gなら、ハピナス、ラッキー、レジドラゴ
シングル63、レギュHなら、ハピナス、ラッキー、ハルクジラ
ダブル64、レギュF・Gなら、ハピナス、ラッキー、レジドラゴ、ハルクジラ
ダブル64、レギュHなら、ハピナス、ラッキー、ハルクジラ、ママンボウ
と選出するとHPが一番多くなります。
持ち時間切れではなく総合時間切れのほうにTODという言葉を使いたくない気分なので、最近それを避けています。相手の持ち時間切れ狙いは間違いなくTOD戦術だと思います。
おわりに
1ターン1on1としてもある程度強かったので、将棋の電王戦の角成らず、みたいなことをでき良かったです。本番まで0ターン戦術を試していなかったので、リスクヘッジとしても良かったと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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