秘伝技廃止後の「怪力」について書きたい
はじめに
ポケットモンスターサン・ムーンからスカーレット・バイオレットにかけての記事です。
「かいりき」という技があります。
この技は威力80命中100のノーマルタイプの通常攻撃技ですが、第六世代(XY、オメガルビーアルファサファイア)までは秘伝技の一種であり、バトルではないときにフィールド上の障害物を動かすときに必要でした。
このようにRPGとしてのポケモンを構成するひとつの技として、強い役割を与えられていた「かいりき」でしたが、第七世代サンムーン以降では、秘伝技が廃止され、ただの技となってしまいました。
この、ただの技となってしまったかいりきについて今回書きます。
- はじめに
- 第七世代のかいりき習得ポケモン
- 第八世代剣盾のかいりき タマゴわざで登場
- 第八世代剣盾のかいりき習得ポケモン
- 第八世代BDSPのかいりき習得ポケモン
- 第九世代SVのかいりき習得ポケモン
- ちなみに:いあいぎり
- 前半/後半
- かいりきという技の対戦における基本情報
- 第七世代以前のかいりきの対戦での価値
- 第八世代以降のかいりきの対戦での価値
- 今後の希望の光・メガカイロス復活
- 参考資料
- おまけ:かいりき SV技エフェクト
- おわりに
第七世代のかいりき習得ポケモン
この項目の話題だけなら、すでに書いている方がいたので、ご紹介しておきます。
(同じ内容の記事を書いてもポケモン界全体としては意味が薄いので、記事を書くときには、似た記事が既にないかを検索するよう心がけています)
第六世代では、秘伝技版わざマシンである「ひでんマシン」を使って多くのポケモンが覚えることができました。
395匹と上記記事では書いていましたが、
『かいりき』の効果と覚えるポケモン - ポケモン図鑑ORAS・XY|ポケモン徹底攻略
では390件のヒットで、この中にメガシンカも含まれていたため、もう少し少ない数のはずです。
そんな多くのポケモンがかいりきを覚えた状況が、第七世代で一変します。秘伝技廃止に伴うひでんマシンの廃止により、ほぼ全てのポケモンがかいりきを使えなくなりました。
第六世代までは、自力でかいりきを覚えるポケモンはおらず(ドーブルのスケッチを利用した習得は除く)、全てのポケモンがひでんマシンに頼っていました。
第七世代では、ただ一種類のポケモンのみがこの技を使えました。
それが「カイリキー」でした。進化時及び基本技での習得です。
名前にぴったりで、唯一かいりきを使えるポケモンとして最も適しています。ポケモンの個性と習得技の不一致をよく起こすポケモンというゲームにしては、珍しい名設定です。
というわけで、第七世代ではかいりきはカイリキーの専用技でした。
第八世代剣盾のかいりき タマゴわざで登場
秘伝技廃止後の「かいりき」の話を記事にするレベルまで押し上げたのが、この項目です。
今まで一切タマゴわざとして登場していなかったかいりき、第七世代ではカイリキーしか覚えなかったかいりき、それが、一系統のポケモンにだけタマゴわざとして追加されました。
かいりきをタマゴわざで覚えるそのポケモンとは、「サルノリ」です。
サルノリ・バチンキー・ゴリランダーは、第八世代で新しく登場したポケモンであり、タマゴわざでかいりきを習得する歴史上唯一の系統です。
後述のとおり第八世代ではかいりき習得者が増えたため、サルノリ系統がかいりきを覚えることまでは不自然ではないのですが、なぜタマゴわざなのか?
謎に包まれています。
第八世代剣盾のかいりき習得ポケモン
第八世代では、カイリキーの専用技ではなくなりました。
1
カイリキーの進化前のワンリキー・ゴーリキーがレベルアップで覚えるようになりました。カイリキー自身の習得も、進化時・基本技ではなくレベルアップ(31レベ)によるものになりました。
2
カイロスがレベルアップで覚えるようになりました。カイロスは元々第六世代までひでんマシンでかいりきを覚えることができていましたが、第七世代では覚えませんでした。
3
ドロバンコ系統、ヌイコグマ系統が、新規習得しました。これらは第七世代で登場したポケモンですが、第七世代では覚えることができませんでした。
4
ゾウドウ系統・サルノリ系統が、かいりきを習得できる新ポケモンとして登場しました。これらは第八世代で登場したポケモンです。ゾウドウ系統はレベルアップで、サルノリ系統は前述のとおりタマゴ技で覚えます。
第八世代BDSPのかいりき習得ポケモン
第四世代ダイヤモンド・パールのリメイクということでひでんマシンかいりきが復活し、多くのポケモンが習得できました。
検索すると、253件ヒットしました。
『かいりき』の効果と覚えるポケモン|ポケモン図鑑ダイパリメイク|ポケモン徹底攻略
第九世代SVのかいりき習得ポケモン
BDSPのひでんマシン復活はリメイクによる一時的なものであり、パルデア地方では剣盾ガラル地方に引き続き秘伝技は廃止されていました。
この世代では、剣盾と比較しての新規習得・没収はともになく、剣盾でかいりきを覚えたポケモンのうちSVで登場するポケモンだけがそのまま覚えているという状態です。
以上です。
ダウンロードコンテンツで、SVに登場するポケモンが増えるので、そうするともっと習得者が増えるかもしれません。
ちなみに:いあいぎり
上述の記事ではいあいぎりも取り上げられていたので、いあいぎりも調べてみました。
第七世代ではカミツルギの専用技となっていたいあいぎり。
ピカブイ・第八世代ではカモネギ(カントー)も習得するようになり、剣盾では2種類のみが使える技となっていました。かいりきと同じようにBDSPで復活しました。
第九世代では、なんと習得者なしということになりました。
習得者がいないだけで、データ上は削除されているわけではないみたいです。ゆびをふるで出るようです。
前半/後半
かいりき習得者について見たついでに、かいりきの対戦での価値について考えます。
他に、コンテストでの技の価値という話題も考えることができる内容ではありますが、詳しくないのでそれはしません。
かいりきという技の対戦における基本情報
タイプ:ノーマル
威力:80
命中:100
PP:15
効果:なし
対象:1体選択
優先度:0
直接攻撃:直接攻撃である
第七世代以前のかいりきの対戦での価値
第七世代には、おんがえし・やつあたりという完全上位互換の技がありました。
この技はなつき度を調整することにより威力を最大にすることができ、実質的には威力102の技です。かいりきより威力が22高いです。
さらにPPもかいりきより多く、20です。
ほぼ全てのポケモンがおんがえし・やつあたりを使えるため、かいりきを覚えるポケモンは、みなおんがえし・やつあたりを覚えます。
このように、かいりきはおんがえし・やつあたりの完全下位互換です。これでは対戦での価値がありません。
(一応捻り出すなら、2枠目のおんがえし・やつあたりという役割を与えられますが、2枠目のおんがえし・やつあたりを入れるくらいなら他の技を入れるのが普通です。あとはふういん対策とかでしょうか。)
第八世代以降のかいりきの対戦での価値
おんがえし・やつあたりが廃止されました。以前よりは希望が見えます。
カイリキー、カイロス、バンバドロ、キテルグマ、ダイオウドウ、ゴリランダーであり、タイプ一致でかいりきを使えるのはノーマル・かくとうタイプのキテルグマだけです。
ノーマルタイプは相手の弱点をつくことができず、そのわりに3タイプに無効か半減されるため、ノーマルタイプではないポケモンが、ノーマルタイプの攻撃技を使うことはほぼありません。同程度の威力でも、他のタイプの技を覚えさせます。
唯一タイプ一致でかいりきを使えるキテルグマですが、のしかかりを覚えます。この技は、かいりきのほぼ完全上位互換でした。威力が5高く、追加効果で30%まひがついています。
唯一かいりきに価値を見出すなら、この追加効果がないというところになります。「のしかかりだと相手をまひにしてしまい良くない」という状況が欲しいというわけです。
追加効果がないというところでいくと、「すてみタックル」「あばれる」も存在するため、そこも気にかける必要があります。
すると、
トリックルーム中でキテルグマ(すばやさ種族値60)が、デメリットのないノーマルタイプの物理技で攻撃したいとき
に、かいりきの採用価値がありました。
相手をまひにさせると、すばやさ関係が逆転し、トリックルーム中にキテルグマが先制できなくなってしまうという可能性があります。そこに、のしかかりと比較したときの利点があります。
しかしながら、ツッコミどころはあります。
トリックルーム中に先に動いて攻撃するとき、その一撃で相手を倒せているのであれば、追加効果の発動の有無は考えなくてよくなります。それならのしかかりで良いです。
逆にもし一撃で相手を倒せていないならば、反撃をもらいます。それは一種のデメリットで、すてみタックルの反動やあばれるの混乱よりも大きいデメリットです。
そもそも、トリックルームを使うなら、限られたターンの間に低いすばやさから大火力をぶつけるのが普通であり、反動というデメリットがあっても1.5倍の威力があるすてみタックルのほうが優先されます。
それでも、他にこれ以上のかいりき採用場面がないため、現状では、「トリックルームアタッカーキテルグマ」がかいりきが一番の活躍場所になりそうです。
今後の希望の光・メガカイロス復活
一つ、かいりきが活躍する希望の光があります。それが、カイロスのメガシンカ復活です。
メガカイロスの特性は「スカイスキン」であり、ノーマルタイプの技を威力を1.2倍にしたひこうタイプの技として使います。
第六世代・第七世代のメガシンカが存在した世代では、おんがえし・やつあたりという完全上位互換の技が存在したため、メガカイロスがかいりきを使うことがありませんでしたが、それらが廃止された今なら、可能性があります。
剣盾でカイロスが覚えるノーマルタイプの物理技を見てみると、
<高威力・デメリットあり>
ギガインパクト(威力150で次のターン動けない)
あばれる(2~3ターン連続攻撃、終了後混乱)
<中威力・デメリットなし>
のしかかり(威力85で30%まひ)
かいりき(威力80)
からげんき(威力70だが、状態異常で威力2倍)
<先制技>
でんこうせっか、フェイント
<その他>
みだれづき(威力15の2~5回連続攻撃で命中90)
ダブルアタック(威力35の2回攻撃で命中90)
じたばた(最大威力200)
はさむ、しめつける、ハサミギロチン 、みねうち、
となっています。
この技一覧のままメガカイロスが復活したときに対戦でよく使われそうなのがあばれる・のしかかりです。
しかし、のしかかりは剣盾ではわざレコードでの習得であり、世代によっては覚えられない可能性があります。現に、カイロスはのしかかりを第七世代では覚えませんでした。
のしかかりを使えないとき、あばれるのデメリットを嫌うと採用されるのが・・・かいりきとなるのです。
メガカイロスが復活し、使い勝手がいいメインウェポンとして「かいりき」が対戦環境に登場している日がもしかしたら来るかもしれません。
参考資料
主な参考資料です。
おまけ:かいりき SV技エフェクト
ほとんどの人は見る機会がないと思うので、紹介します。
たぶんかいりき関係ないですが、なぜかバトルコートの隣にもう一匹のダイオウドウがいますね。
ダイオウドウの鼻の裏が分かる貴重なシーンです。鼻の穴があることが確認できました。
ダイオウドウの鼻の長さを測るときに便利そうな画像です。
わるあがきの被弾と似ている気がします。もしかしたら一緒かもしれません。
おわりに
技の歴史を探る記事が好きなんですが、自分では初めて書きました。
数十個くらいあるブログアイデアメモにある「かいりき 唯一のタマゴ技 ゴリランダー」というメモが消えます。
タマゴわざで唯一かいりきを覚えるポケモンという変なゴリランダーの個性に気になったことが始まりでしたが、書いているうちにメガカイロスがかいりきの希望であることが分かって面白かったです。
お読みいただきありがとうございました。
前回記事 イチオシ記事です。
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