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【ポケモン】第八世代のゴチルアント(シングル)の総評

剣盾シングルのゴチルアントを振り返りたい

 

なまけモルペコ(はらぺこスイッチにはなかまづくりが効く)

 

はじめに

 

 ポケモンの特殊戦術についての記事です。ソード・シールド時代におけるその戦術について振り返ります。

 観測できる中では、このニッチで大して強くない戦術を一番やっていた人間であるため、総評という記事も書けるだろうということで、今回の記事を書きます。

 

 

なかまづくり

 

ゴチルアントとは

 

 特性「なまけ」のアイアントが技「なかまづくり」を使い相手の特性を「なまけ」にします。特性「なまけ」のポケモンは2ターンに1回しか行動できません。

 「なかまづくり」のあと、相手の攻撃によって、アイアントの「だっしゅつボタン」が発動するか、アイアントが倒されるかします。そして、特性「かげふみ」のゴチルゼルを出します。特性「かげふみ」により相手は交換ができません。

 「なまけ」で相手が行動できないターンに「コスモパワー」「わるだくみ」などを使い、行動できるターンには「まもる」を使い、ゴチルゼルの能力ランクを安全にアップさせます。

 準備が整ったら、相手が行動できないターンに相手を攻撃して倒します。相手の控えていたポケモンも圧倒的能力ランクによって倒し、勝ちます。

 

 ゴチルゼルのところをダグトリオにした「ダグアント」もあります。ダグトリオの特性は「ありじごく」であり、地面にいる相手に対しては「かげふみ」と同じ効果を与えられます。

 

 

環境 第七世代→第八世代の変化

技の新規習得などもここに含めています。

 

良かったこと

 

(1)アイアントゴチルゼル(・ダグトリオ)のガラル入国

 ポケモンソード・シールド(剣盾)では、全てのポケモンがゲームに登場することができませんでした。発売直後、使えたポケモンは400匹でした。そのうち剣盾が初登場のポケモンを除くと300匹くらいしかポケモンが登場しない中、ゴチルゼルアイアントも登場しました。ついでにゴチルゼルの代役となれるダグトリオもいました。

 単純計算、アイアントゴチルゼルの2匹が揃わないことのほうが多いのでとても恵まれていました。

 

 

(2)メガシンカ廃止

 通常、なかまづくりを先制で相手に使った場合、なかまづくりの後は相手は行動します。そのターンは相手にとって行動できるターンになるわけです。

 しかし、なかまづくりを使うターンに相手がメガシンカしていると、なかまづくりの直後に相手がなまけるという事象が起きます。そのターンは相手にとって行動できないターンになるわけです。メガシンカが一種の行動として扱われてなまけカウントが消費されているからという説があります。

 

 

(3)ゴチルゼルの新規技習得

 

 今まで、ゴチルアント成功時のゴチルゼルが使う技は、「めいそう」「かげぶんしん」「みがわり」くらいでした。

 そこから、「コスモパワー」「わるだくみ」という2つの技を覚えて、防御・特防を上げつつ特攻を上げることができるようになり、対物理が安定しました。回避に頼らなくていいという意味でも安定感が増しました。

 

 また、今回の能力ランクアップの戦術と相性がよくかなり強力な「アシストパワー」を覚えたことにより、攻撃面でも強化されました。

 

 

(4)アイアントの新規技習得

 

 脱出ボタンなどによるゴチルアント成功時、ゴチルゼルが倒されたけれどあと少しで勝てるときのトドメの一撃として使える「であいがしら」をアイアントが覚えました。場に出て最初のターンだけ使える、優先度+2で威力90のむし技です。

 

 

(5)ダグトリオの新規技習得

 

 第七世代では成功時に「かげぶんしん」「みがわり」しかできなかったダグトリオですが、「つめとぎ」(と「ふるいたてる」)を新規習得しました。

 「つめとぎ」は第六世代のときは使えたのですが、第七世代で使えなかった技です。剣盾で、唯一タマゴ技に「つめとぎ」を追加されたのがダグトリオなので、開発者に認知されているのでしょうか……?ありがたいことです。ペルシアンにもそれをやってほしかったですが……つめとぎ催眠ペルシアン……他の技でいうとビークインドククラゲとかも……

 

 

悪かったこと

 

(1)ダイマックスというシステム

 正直なところ、第八世代は総合的に見ると今までの世代の中で一番苦しかった世代と言えるのではないかと思っており、その原因がこのダイマックスです。

 ダイマックスした相手に対して、「なかまづくり」は無効になります。そのため、アイアントがなかまづくりを使おうとしたターンに相手がダイマックスしてきて無効にされ、返しの攻撃で立て直しができない状況になる、ということが頻発しました。なかまづくりを使おうとしたターン以外にダイマックスされても、凌ぎきれないのできついことが多かったです。

 ダイアークをゴチルゼルが使えるという点においては、良いことでした。威力130で特防ダウンをさせるため、特殊受けなども突破できるようになり、ワンウェポン・アシストパワーなしで相手を倒しやすくなりました。

 

 

(2)ウーラオスの登場

 特に厄介なのは、あくタイプの一撃の型です。採用率ほぼ100%の専用技で、威力80確定急所のあくタイプの攻撃技でゴチルゼルを破壊してきます。また、ゴチルアント成功時にゴチルゼルがランクを上げているときにも、専用キョダイマックスわざであるキョダイイチゲキでまもるを貫通して弱点大ダメージを与えてきます。

 みずタイプの連撃の型の単純な確定急所だけでもきつかったです。

 一般的にも強かったので使用率が高かったのも困りました。

 

(3)メタモンの台頭

 ダイマックス・ザシアン・黒バドレックスとの相性の良さにより、メタモンの使用率がとても高かったです。ゴチルアントが成功しても、メタモンを出されて特性「かわりもの」によりゴチルゼルの能力をコピーされてしまいます。まもるでPPを枯らそうとしても、相手の「かげふみ」になっていることにより「かげふみ」の隠された効果(両者がその特性なら両者が交換可能)により逃げられてしまいます。

 

(4)強いゴーストタイプの増加

 ゴーストタイプは交換封じに耐性があるため、「かげふみ」が効きません。したがって、ゴーストタイプ相手だとゴチルアントを成功させることができないわけです。

 しかし、ドラパルト・黒バドレックスが登場しました。バドレックスはその専用特性がなかまづくりを受けつけないため、その点でも無理でした。なお、それと似ているギルガルドミミッキュが第七世代ほど少なかったのは一応良い点でした。

 

(5)ミラクルアイの技削除

 あくタイプを、エスパータイプの攻撃が通る状態にする技である、「ミラクルアイ」。ゴチルゼルも覚える技で、新規習得したアシストパワーとの相性が良いですが、技自体が廃止されてしまいました。

 

 

 

環境 第八世代のルールの変化

 

良かったこと

 

ダイマックス禁止ルール

 

 シリーズ10は、禁止級伝説1匹採用可能・ダイマックス禁止のルールでした。剣盾において特大不利要素であったダイマックスが消え、ポケモン単位で厄介なポケモンがいるだけとなりました。

 全体的にダイマックスに苦しめられた剣盾でしたが、シリーズ10だけはオアシスでした。

 

ダイマックス

 

 

戦術の開拓 ねばねばネットとの組み合わせ

 

 ゴチルアントのアイアントには2パターンがあり、1つが脱出ボタン、もう1つが最脆スカーフでした。

 

 最脆スカーフは、耐久の個体値を最遅にして、相手の攻撃1回で倒されるようにするものです。

 しかし、それでも1回で倒されないことがあり、相手に対策手段を取られてしまいがちです。よくあったのは、ザシアンのきょじゅうざんをアイアントが耐えてしまったあと、こちらがなまけているターンに交換され、先制技で倒されるというものです。

 ほかに、脱出ボタンに対してとんぼがえりなどを使われた場合は耐えれば脱出ボタンだけが発動するのに対して、こちらは逃げられてしまうという欠点もありました。

 

 上記のような観点から、相手よりすばやさが高いのであれば、脱出ボタンを持たせたいところです。

 しかし、すばやさ種族値109のアイアントであっても、それ以上の高速ポケモンや相手のこだわりスカーフを考えると相手より先に行動できるとは限りません。

 

 そこで、登場したのが、ねばねばネットと組み合わせるという方法です。

 

 「ねばねばネット」とゴチルアント、アイアント、かげふみ、影踏み、なまけ、怠け、を組み合わせてTwitter検索した限りでは、筆者が初出です。

 

 

 

ささやかな実績 ゴチルアント特化構築で最終4555位

 

 先ほど、このシリーズだけは良かったと書いていたダイマックスが禁止されていたシリーズ10にて、筆者がゴチルアント特化構築でレート1714、最終4555位を達成しました。

 

tetspond.hatenablog.com

冒頭

 ポケットモンスターソードシールドのランクバトルシングルバトルシリーズ10(ダイマックス禁止・禁止級伝説一匹採用可能ルール)シーズン22にて、特殊戦術「ゴチルアント」に特化したパーティーで戦いました。ここ数年で一番この戦術に適した環境だったので、この戦術にパーティーの全てを注ぎました。

 「本当のガチの対戦ではネタの域をでない」「事前の対策がなくとも対応可能」などの評価を受ける戦術ではありますが、4桁帯で戦えるレベルではあるということを示すために、記事を書きます。

 

 そもそも、ゴチルアント特化構築で一定の結果を出したという記録自体がない状態だったところに、この結果が出たので、ゴチルアント史の一歩として刻めるものだと思います。

 

 もちろん、4桁は普通の対戦においてはめちゃくちゃ高い順位ではありません。このときは上位5%程度でした。ネタと言われる戦術でどこまでやれるかという挑戦でした。

 

 

ささやかな実績 禁止級伝説環境・ダイマックスありでのマスター到達

 

 それ以外のシーズンにおいても、ゴチルアント特化でマスターボール級に上がるところまでは各シリーズでやりました。

 冠の雪原ルール、禁止伝説1匹ダイマックスありルール、禁止伝説2匹ダイマックスありルール、禁止伝説など無制限ダイマックスありルール、それぞれで、禁伝なしのゴチルアント特化構築でマスター到達できました。

 

 

 

基本の育成

 剣盾のゴチルアントのスタンダードを記録します。

 

アイアント(だっしゅつボタン)

 

ボルトチェンジ意識の配分

134(4)-129-132-x-100(252)-177(252+)

(サンダーの特化メガネボルチェン14/16耐え)

 

 なかまづくりを使ったあと、普通の攻撃で倒されることは大して問題がありません。一方、とんぼがえり系統は耐えないと相手に逃げられてしまいます(耐えればこちらの脱出ボタンだけが発動してこちらだけ交換できる)。そのため、一番それらの技を耐えることができる配分にするのが良いと思います。その場合、特防が低いアイアントにとってはボルトチェンジが一番耐えにくい攻撃であるため、特防振りとなります。

 ちなみに最速にした上での総合耐久指数を最大にする場合はH100D156振りでした(この場合サンダー特化ボルチェン11/16耐え)

 

技:なかまづくり ハサミギロチン アイアンヘッド であいがしら

他候補:かみくだく かたきうち じだんだ

 

 

 

アイアントこだわりスカーフ

 

最脆 HBD個体値0 せっかち

118-161(252)-105(-)-x-53-177(252+)

 

 個体値を下げて、防御には性格の下降補正をかけて、耐久数値を下げます。

 

技:同上

 

 

 

ゴチルゼル

 

 A個体値0、H252振り、あとは諸説

 

スタンダード?

177(252)-54(-)-116(4)-161(252+)-130-85

 

<技>

まもるは確定です。

 

スタンダード?

コスモパワー わるだくみ あくのはどう

 

他の案

コスモパワー わるだくみ エナジーボール

コスモパワー アシストパワー 10万ボルト

コスモパワー アシストパワー エナジーボール

 

その他(オススメしません)

コスモパワー わるだくみ アシストパワー

コスモパワー わるだくみ シャドーボール

めいそう アシストパワー 10万ボルト

めいそう アシストパワー エナジーボール

 

変わり種

コスモパワー アシストパワー ローキック

無補正・個体値31・努力値52振りのローキックでH252バンギラスを乱数3発(97%)

 

<持ち物>

たべのこし:ゴチルアント成功時、相手がダイマックスわざで貫通ダメージを与えてきた場合にそれを回復できます。成功後も、まもるとの相性の良さで耐久をさらに向上させます。

ナモのみ:防御特化とダイマックスとナモのみで一撃ウーラオスに勝てる調整があります。

ラムのみ:ギミック成功後の追加効果による負けを減らします。

火力アップアイテム:くろいメガネなど。ギミック成功後の制圧力を増やします。

 

 

総評

第八世代のゴチルアント(シングル)の総評

 

 この世代の目玉要素であるダイマックスに苦しめられたましたが、

ダイマックスがないルールにおいては、記録が残る中で過去最高の結果が出たこと

それ以外のダイマックスありルールにおいてもマスターボール級到達はできたこと

などから一定の結果には辿り着けたと言えます。

 また、ねばねばネットとの組み合わせが開拓されるなど、戦術面での良いこともありました。今後もゴチルアント特化構築の定番の一つとなるでしょう。

 

 

第九世代への不安と結果

 ポケモンSV発売前に抱いていた不安と結果です。

 

 

Q:アイアントゴチルゼルがパルデア地方にいるだろうか。

BDSPと剣盾の関係:第四世代は剣盾リストラが多かった

→次の世代ではBWリメイクの可能性があり、BWポケモンが減るかもしれない

A:アイアントがいない。

 

Q:ゴチルゼルの技レコード

アシストパワー コスモパワー わるだくみ あくのはどう

は継続するだろうか

A:コスモパワーが消えた。対あくタイプのきあいだま・テラバーストを新規習得

 

Q:アイアントのなかまづくり習得は変化がないか。

A:そもそもアイアントがいなかった。

 

Q:新要素はダイマックスのように阻害要素とならないか。

A:ならない。テラバーストがむしろありがたいくらい。

 

Q:強い確定急所ポケモンがいないか。

A:マスカーニャのトリックフラワーが登場した。

 

 

新要素予想にまつわる話

 新要素予想の一つにクイック交換というものがありました。何かのPVのボールの映像から想像された説で、1試合に1回、交換したターンに交換で出したポケモンが行動できるというものです。これがもしあると、すばやさ176以下の敵の攻撃に合わせて裏からアイアントをクイック交換して仲間作りをすればいいので強いな、と思いました。

 

理想の第十世代

 アイアントゴチルゼルダグトリオの入国かその役割の新しいポケモンの登場、剣盾のような技習得、環境の低速化、ゴーストポケモンの減少、なかまづくり無効の専用特性持ちの減少、確定急所技もちの減少、上述のクイック交換のように有利な新要素、などが理想です。

 

 

ゴチルアント記事

 このブログのゴチルアント関係記事です。

 

<剣盾>

シングルのゴチルアント

【ポケモン剣盾シングル】通称"ゴチルアント"に特化した選出縛りで初めてのシングルランクマッチ ビギナー級からマスターボール級へ到達 - テツポンドのブログ

【ポケモン剣盾シングル】ダイマックス禁止大会用 2種ギミックパーティー(ゴチルアント/まねっこリオループ) - テツポンドのブログ

【ポケモン剣盾シングル】構築記事「ネット脱出ゴチルアントorダグアント」〜禁伝不採用の特殊戦術特化構築に拘ってS22最終4555位レート1714〜 - テツポンドのブログ

 

シングルのゴチルアント 派生

【ポケモン剣盾シングル】必ず3ターン目にダイマックスする大会(ポタ会)3位 使用戦術「W脱出ゴチルアント」 - テツポンドのブログ

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ダブルのゴチルアント

【ポケモン剣盾ダブル】脱出パックオニゴーリや脱出ボタンマタドガスと一緒にダブルバトルでゴチルアント - テツポンドのブログ

 

<SV> 

シングル・ダブルのゴチルアント

【ポケモンSV】第九世代のなまけ付与によるロック系特殊ギミック考察(シングル・ダブル) - テツポンドのブログ

 

 

なまけが似合うヤドラン

 

おわりに

 

 ゴチルアントの魅力は、安定行動で進めやすいことや、能力最大状態での無双の爽快感などもあります。相手が罠に引っかかることが楽しいという性格悪い楽しみが取り上げられがちですが、それだけではないです。

 「自分にとってのロマンは、相手にとっての害悪」というような言葉を聞いたことがあります。ゴチルアントは、攻撃力がとても高くて防御力がとても高いポケモンというロマンを作り出す戦術です。

 

 最近SVのダウンロードコンテンツが発表されました。アイアントの登場を期待しています。

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

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