いちゃもんアンコール界期待の新人を紹介したい
はじめに
強制わるあがきに興味があり、去年の秋頃から仕様調査や戦術検討をしていました。強制わるあがきについての一連の記事を書く予定でいます。
そこに今回、強制わるあがき戦術の一つ「いちゃもんアンコール」の使い手である白馬バドレックスがランクマッチに参加可能になるという知らせが届きました。この機会に、強制わるあがきの記事に先駆けていちゃもんアンコール白馬バドレックスの記事を作ってみようと思いました。いちゃもんアンコール戦術だけを考えて書いているので実用性は二の次です。
条件が整えば、攻撃技を使用せずに相手を倒すことができます。非暴力不服従戦術です。
ステータスなど
バドレックス はくばじょうのすがた
エンペラーポケモン
タイプ:エスパー・こおり
種族値:100-165-150-85-130-50
個体値:31-31-31-31-31-?
努力値:252-0-252-0-4-0
性格:のんき(B↑ S↓) or わんぱく(B↑ C↓)
実数値:207-185-222-94-151-[49~70]
持ち物:たべのこし
技:いちゃもん アンコール ねむる (ブリザードランス)
想定形式:シングルバトル
前提知識
技ねむるはHPと状態異常を全回復してねむり状態になります。眠って動けないターンは2ターン固定です。
技いちゃもんは相手をいちゃもん状態にします。いちゃもん状態だと直前に使用した技を選択できなくなります。いちゃもんを使ったターンの相手の行動には影響を与えません。交代するまで永続です。
技アンコールは相手をアンコール状態にします。アンコール状態だと直前に使用した技しか出せなくなります。相手の行動前にアンコールを使った場合は、相手が別の技を選択していても強制的に直前に使った技を使わせます。アンコールを使用したときに相手がそのターンに既に行動していたなら、使用したターンを含めて4ターン続きます。相手がそのターンにまだ行動していなかったなら、使用したターンを含めて3ターン続きます。
いちゃもん状態とアンコール状態が重なった場合、次のターンからアンコール状態が解除されるまでの間わるあがきと普通の技を交互に繰り出します(わるあがきが先)。わるあがきの使用者は攻撃後に最大HPの1/4(小数点以下四捨五入)の反動ダメージを受けます。
いちゃもんとアンコールの重ねがけなどによって相手に強制的にわるあがきを使用させる戦術を「強制わるあがき」と呼んでいます。他にもこだわりスカーフトリックとかなしばりなどの組み合わせが存在します。
倒すための共通条件
攻撃技を使うかどうかにかかわらず、今回のいちゃもんアンコールの方法で相手を倒すためには以下の条件が必要です。
共通条件
・相手がダイマックス状態にならない
・相手は最後の1体である
・相手のほうがすばやさが高い(2ターン目以降)
・自分の行動が全て成功する
1つ目は、ダイマックス技はアンコールの影響を受けないこと・ダイマックスでいちゃもんが解除されること・ダイマックス状態のポケモンにいちゃもんとアンコールが失敗することが理由です。
2つ目は、交代されるといちゃもんとアンコールの効果が消えることが理由です。
3つ目は、「前提知識」の項で触れたアンコールの継続ターンの仕様が理由です。相手が行動した後にアンコールを使わないと今回の動きができません。
4つ目は、1回でも行動できないと今回の動きでは致命的であることが理由です。
これらの条件に加えて選択追加条件を満たすと相手を倒せます。相手の道具や変化技などが絡むとややこしくなるので、ここでは相手は道具を持たず通常攻撃技のみを使ってくるものとします。自分のHPは、必要な攻撃を耐えられるのなら満タンでなくても良いですが、簡略化のため満タンからスタートするものとします。
ここから下の項目が選択追加条件の説明になります。
追加条件のところには()で式が書かれていることがあります。これは、相手の1番目に有効な技で自分が受けるダメージをA、2番目に有効な技で自分が受けるダメージをB、相手のわるあがきで自分が受けるダメージをWとして条件を式で表したものです。
攻撃技を使わない場合
共通条件とプラン1追加条件の全ての条件を満たすか、共通条件とプラン2追加条件の全ての条件を満たすかすると、攻撃技を使わずに相手を倒せます。非暴力不服従を実現できます。
非暴力 プラン1
追加条件
・相手の最大HPが4n+1以外
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき1回の計3回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(A+B+W<207+12*2=231)
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき2回の計4回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(A+B+2W<207+12*3=243)
いちゃもん→アンコール→ねむる→→→アンコール →ねむる の動きで勝てます。
4n+1以外となっているのは、わるあがき4回で相手が倒れる必要があるからです。
例 VS 一撃ウーラオス
(陽気AS・攻撃は全て最高乱数・急所は暗黒強打だけ)
後攻いちゃもんでも次のターンのあんこくきょうだは封じることができます。
バドレックスが攻撃技を使わないので、2番目に有効な技はふいうちではなくインファイトになります。相手がふいうちを使ってくれたら急所のリスクが減るのでラッキーです。ねむり状態で動けないターンも攻撃技を選択していると相手のふいうちが成功するので注意です。
非暴力 プラン2
追加条件
・相手の1番目に有効な技2回+わるあがき1回の計3回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(2A+W<207+12*2=231)
・相手の1番目に有効な技2回+わるあがき2回の計4回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(2A+2W<207+12*3=243)(つまりA+W<=121)
プラン1に比べて要求される耐久が高いですが、相手の最大HPが4n+1でも倒せます。
例 VS 原種サンダー
(控えめHC・A個体値13以下・攻撃は全て最高乱数・急所はなし)
攻撃技縛りにこだわらないなら、1ターン目にブリザードランスを使って倒せます。
非暴力を諦めて攻撃技を使う場合
上述の条件を満たせない場合でも、非暴力を諦めて攻撃技を使えば勝てる場合があります。
共通条件とプラン3追加条件の全ての条件を満たすか、共通条件とプラン4追加条件の全ての条件を満たすかすると、攻撃技は使いますが相手を倒せます。
攻撃あり プラン3
わるあがきあと1回分を耐えられなかったり相手のHPが4n+1だったりして非暴力が無理なときに
追加条件
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき1回の計3回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(A+B+W<207+12*2=231)
・1回の攻撃で相手に半分超のダメージを与えられる
いちゃもん→アンコール→ねむる→→→ブリザードランスで倒します。
例えば前述のウーラオスなら、6ターン目の残りHP約半分の状態を倒せるのならば、わるあがきもう1回を耐えられなかったり相手の最大HPが4n+1だったりしても勝てます。(無補正無振り白バドのブリザードランスで無補正無振りウーラオスに65%以上のダメージ)
3ターン目の残り約3/4の状態でも倒せるのならそこで倒しても勝ちです。急所のリスクを減らせます。
プラン1とプラン2に比べて求められる耐久が少し低いです。
攻撃あり プラン4
相手のHPが4n+1で非暴力が無理なときに
追加条件
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき1回の計3回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(A+B+W<207+12*2=231)
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき2回の計4回の攻撃をたべのこし込みで耐えられる(A+B+2W<207+12*3=243)
・1回の攻撃で相手に1/4超のダメージを与えられる
いちゃもん→アンコール→ねむる→→→アンコール →ブリザードランスで倒します。例えば前述のサンダーなら、7ターン目の残りHP50の状態を倒せれば勝ちです。
プラン1と耐久条件は同じですが、こちらは相手の最大HPが4n+1でも勝てます。
攻撃あり カゴのみ プラン5
たべのこしを持たせることができないときに
追加条件
・相手の1番目に有効な技1回+2番目に有効な技1回+わるあがき1回の計3回の攻撃をたべのこし無しで耐えられる(A+B+W<207)
・1回の攻撃で相手のHPの1/6超のダメージを与えられる
いちゃもん→アンコール→ねむる(カゴのみで眠り解除)→ブリザードランス3回で倒します。このようにして、たべのこし無しでも6ターン目まで耐えるのなら、4,5,6ターン目に3回攻撃して勝てます。
前述のウーラオスのケースだと、「ウーラオスが2ターン目にふいうちを選択した場合4ターン目もふいうちになるのでこちらが攻撃技を選択しているとインファイト以上のダメージを受ける」「そもそもたべのこしがないと耐えられない」などの問題があり、ダメです。
プラン3に比べて約1.1倍の耐久力が求められます。
備考
相手よりすばやさが高かった場合
相手より先に行動するなら、上述の動きができません。その場合も、攻撃型なら上から2回攻撃したり、耐久型ならいちゃもんとアンコールで回復技を制限してから攻撃を繰り返してゴリ押したりすると突破できるかもしれません。
あえてすばやさを下げたほうが今回の戦術自体は成功しやすくなりますが、総合的に見てどうなのかよく分かりませんでした。それで今回のステータスのすばやさ実数値は49~70と書いています。
相手がこだわり系アイテムを持っていた場合
相手がこだわり系アイテムを持っていると、2ターン目から偶数ターンにわるあがき・奇数ターンに1ターン目に使った技を使ってきます。相手のこだわった技2回とわるあがき1回をたべのこし込みで耐えられる(2A+W<231)なら、3ターン目以降ねむるを繰り返して勝てます。耐えられない場合は、2ターン目に攻撃技を使って相手を倒すことができなければ3ターン目に倒されてしまいます。
わるあがき関連
わるあがきで相討ちになった場合はわるあがきを使用した側が勝ちです。いちゃもんアンコールを使う側からすると不利な判定です。
第五世代以降のHPゲージは50%以下で黄色になります。相手の最大HPが4n+1かどうかはわるあがき2回の反動でHPゲージが黄色になるかどうかで判別できます。緑のままのときが4n+1です。
非暴力を諦める場合の勝利まとめ
たべのこしを持っていて攻撃技を使う場合、ブリザードランス1回で相手に与えるダメージが
1/1以上なら、A<207のときに勝ち(普通に"耐えて攻撃")
1/2超なら、A+B+W<231のときに勝ち(プラン3)もしくは2A<219のときに勝ち(普通に"耐えて攻撃"を2回)
1/4超なら、A+B+W<231かつA+B+2W<243のとき勝ち(プラン4)
0なら、4n+1以外かつA+B+W<231かつA+B+2W<243のとき勝ち(プラン1)もしくは2A+W<231かつA+W<=121の時勝ち(プラン2)
雑記・メモ
以下 追加効果や急所無し想定
陽気ASエースバーン(火炎・膝)はプラン1やプラン4で勝ち。意地珠ASは負け。
ミミッキュはルートが多すぎて不明。陽気AS珠ミミッキュ(じゃれ・シャドークローのみ)ならプラン2などで勝ち。
臆病CSドラパルト(シャドボ・大文字)はプラン3などで勝ち。控えめは乱数。
意地HAグラードン(炎パンチ・エッジ)は晴れ込みでプラン1やプラン4でほぼ勝ち。
控えめCSカイオーガ(根源波動・雷)は雨込みでプラン4で乱数。こだわりアイテム持ちやしおふきは無理。
臆病CSイベルタル(悪波動)は"耐えて攻撃"で勝ち。
ザシアンは無理。
黒バドレックスは無理。
ASヌケニン(ポルター・シザー)は最大HPが4n+1ではあるけれど例外的にプラン1で勝ち。
各ポケモン 攻撃系の積み技を使われると厳しい。
デメリット
攻撃の技範囲が狭くなる
共通条件を満たす(伝説枠無しでダイマックスを消費させ1vs1に持ち込む)のが難しいが条件を満たせない場合に扱いにくい
伝説枠の消費
白馬バドレックスは耐久系の各種族値がヤミラミ(50-75-65)のちょうど2倍
耐久型のHB・HDもヤミラミの2倍より少し高いくらい
数値だけ考えると
弱点を常に突かれる白馬バドレックス>すべて等倍で受けるヤミラミ ??
白馬バドレックスのいのちのしずく>ヤミラミのじこさいせい ??
他の補助技検討
やどりぎのタネ、みがわり、まもる、いのちのしずく
関連
しばらく前に、Togetter(Twitter社から利用許諾を得てトゥギャッター株式会社が提供しているツイートまとめサービス)を使って、いちゃもんアンコールの強制わるあがき戦術に関連するツイートをまとめました。
アンコール状態の持続ターンは第四世代では3~7ターンであり、第五世代で今の仕様になりました。これは弱体化と言われることもありますが、今回の戦術を行う場合は継続ターンがねむりターンと噛み合っているほうがやりやすく、むしろ強化とも言えます。
追記 実績がつきました
2022/9/4追記
400人規模の禁伝1on1 7位 レート1646
伝説・幻1on1 優勝
おわりに
Twitterで「バドレックス いちゃもん」「バドレックス アンコール」で検索しても白馬バドレックスのいちゃもんとアンコールについて何も出てこなかったことも今回の記事作成を後押ししました。今回の記事がバドレックスのアンコールといちゃもんに注目した初の文章になる可能性があり嬉しかったです。
バドレックスは変化技が多彩です。例えば白馬なら、鉄壁、瞑想、宿木、壁系、ルーム系、スワップ系、挑発、トリック、バトンなどがあります。「バドレックス やどりぎ」「バドレックス 宿木」はTwitter検索結果が数件程度でした。王道アタッカー型が強いという評価のようです。
当初は今回の記事を
バドレックスは攻撃特化でつららばり5回ヒットやブリザードランスでも陽気AS一撃ウーラオスを倒せない! 普通なら上から2回攻撃されて終わり! でもこの戦術なら勝てる!
という流れにしようとしていたのですが、計算しているうちに
最速にしてこごえるかぜ・マッドショットでウーラオスのすばやさを下げればすばやさを逆転できる。無邪気ASならこごえるかぜ+ブリザードランスで耐久無振りウーラオスをぴったり確定で倒せる。無邪気ASでも陽気ASウーラオス暗黒強打急所確定耐え。でもふいうちされるとダメだった。
攻撃特化で溶けない氷を持つとブリザードランスで耐久無振り一撃ウーラオスをぴったり確定1発で倒せる。
などいろいろあり、分からなくなりました。
自分自身が他の活動のためにSwitch未解禁状態で試すこともできないので、攻撃技を使わずに相手を倒す戦術である点に注目して記事を書きました。 同じような技構成のポケモンをDS(機種名のほう)で使ってみたことはあり、そちらもまた後日記事にしようと思います。原種ダルマモード普及活動
白馬バドレックスと黒馬バドレックスで、強制わるあがきの基本戦術4種を全てできることに気がついたので、夢が広がっています。黒馬バドレックスのほうも記事を書くかもしれません。
(追記)上で言っていた記事を2021年3~4月に書きました
【ポケモン】非暴力不服従の皇帝2 かなしばりアンコール黒馬バドレックス (強制わるあがき#2)
【ポケモン】非暴力不服従の皇帝3 スカーフトリックいちゃもん白馬バドレックス (強制わるあがき#3)
【ポケモン】非暴力不服従の皇帝4 スカーフトリックかなしばり黒馬バドレックス (強制わるあがき#4)
【ポケモン剣盾シングル】ランクマッチシリーズ10(ダイマックス禁止・禁止伝説ありルール)と強制わるあがき白黒バドレックス (強制わるあがき#5)
お読みいただきありがとうございました。この記事に12時間以上かけてしまった…
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