〜すばやさ6段階上昇レベル100最速スピードフォルムデオキシスがトリックルーム中に最初に行動する現象〜
はじめに
ポケモンの対戦では、優先度(優先度 - ポケモンWiki)が同じ場合には通常時はすばやさが高い方から行動し、トリックルーム中(トリックルーム (場の状態) - ポケモンWiki)ならすばやさが低い方から行動する。そのような認識だと思います。
もちろん普通ならその認識で合っているのですが、すばやさがとても高くなると話は変わってきます。
今回はとても高いすばやさの仕様について書きます。今回扱う内容について言及されたブログは検索しても見つかりませんでした。このブログが初になると思います。
※今回の記事はある程度ポケモンに関する知識があることを前提にしています。
※第五世代(ブラック・ホワイト)以降の仕様です。
目次
すばやさの仕様(ポケモンwikiより)
第五世代(ブラック・ホワイト)以降のすばやさの仕様はポケモンWikiに詳しく載っています。
以下はそれをまとめたものです。
追記 注:このブログを書いた時点のページのwikiの版はこちらです。
https://wiki.ポケモン.com/w/index.php?title=すばやさ&oldid=476650
・すばやさから行動順を決めるときには5つの段階がある。
A. ポケモンのすばやさ実数値
B. Aの値にランク補正・持ち物などの補正をかける
C. Bの値が10000を超えているなら、10000になる
D. トリックルーム中なら、10000からCの値を引く
E. Dの値が8192以上なら、8192を引く
優先度が同じなら、Eの値が高いポケモンから行動する。
(wiki中ではEの処理は「8192で割った余りを出す」となっていますが、Cの値が0~10000の範囲にあるゆえにDの値も0~10000の範囲になるので、この説明と実質同じです。)
(英語圏のポケモン情報サイトbulbapediaにも同じ内容の記述があることからある程度信頼できると思われます。また、後述のトリックルーム中の現象はポケモンブラックで再現し確認済みです。ちなみに、第四世代のダイヤモンドでは再現不可能であることも確認済みです。)
・補正後のすばやさは0になることもある。
準優先度
今回は、先ほどのすばやさの処理で出てきたAからEの値を区別するため、Aを「すばやさ実数値」、Bを「すばやさ」と呼びます。そして、Eについては行動順に直接関わる数値なので「準優先度」と勝手に名付けます。優先度と同じにように高いものから先に行動し、優先度の方が優先されるのでこのような名前にしました。
行動順(普通の状況)
例1つ目。ゲーム内で「すばやさ:100」と表示されるカイリューがいて、すばやさが1段階上がっている場合。準優先度の決め方は、
1. すばやさ実数値は100
2. すばやさが1段階上がっているのですばやさ実数値に1.5をかけて、すばやさ150
3. 150は10000を超えていないので、150のまま
4. トリックルーム中ではないので、150のまま
5. 8192を超えていないので、準優先度は150
すばやさ実数値が150未満かつすばやさが上昇していないポケモンより、先に行動できます。
例2つ目。ゲーム内で「すばやさ:50」と表示されるカビゴンがいて、すばやさのランクなどの変化はなしで、トリックルーム中である場合。
1. すばやさ実数値は50
2. すばやさのランクなどの変化はないので、すばやさ50
3. 50は10000を超えていないので、50のまま
4. トリックルーム中なので、10000から50をひいて 9950
5. 9950は8192を超えているので、9950から8192をひいて準優先度は1758
例1つ目のカイリューの場合、10000-150=9850, 9850-8192=1658 で準優先度は1658になるため、準優先度が高いカビゴンの方が先に行動します。
行動順(とても高いすばやさも考慮するとき)
先ほどは通常の対戦で起きる状況を例にとって、準優先度の求め方について説明しました。ここからは、かなり高いすばやさも考慮した上で、行動順をまとめます。
【 通常(トリックルーム中でない) 】
準優先度の結果は3つのパターンに分かれます。
すばやさ0~8191のポケモン
準優先度 =「すばやさ」
すばやさ8192~9999のポケモン
準優先度 =「すばやさ - 8192」
8192以上だから8192を引く
すばやさ10000~のポケモン
準優先度 = 1808
10000以上なので上限により10000になる。そして、8192以上だから8192を引く。
まとめると次のようになります。
行動順
準優先度 8191 : すばやさ8191 (一番最初に行動)
準優先度 8190 : すばやさ8190
~
準優先度 1810 : すばやさ1810
準優先度 1809 : すばやさ1809
準優先度 1808 : すばやさ1808 or 10000以上
準優先度 1807 : すばやさ1807 or 9999
準優先度 1806 : すばやさ1806 or 9998
~このあたりに普通のポケモン~
準優先度 1 : すばやさ1 or 8193
準優先度 0 : すばやさ0 or 8192(一番最後に行動)
すばやさが8192やその少し上だと普通のポケモンより遅く行動することになってしまいます。
【トリックルーム中】
トリックルームでも、準優先度とすばやさの関係は3つのパターンに分かれます。ただし、パターンの分かれ方は通常時とは異なります。
すばやさが0~1808のポケモン
準優先度=「10000 - すばやさ - 8192」つまり「1808 - すばやさ」
10000からすばやさを引いた後、8192以上だから8192引く
すばやさが1809~9999のポケモン
準優先度=「10000 - すばやさ」
10000からすばやさを引いた後、8192未満だからそのまま
すばやさが10000~のポケモン
準優先度 = 0
10000の上限により10000になった後、10000から10000を引いて0
まとめると次のようになります。
行動順
準優先度 8191: すばやさ1809(一番最初に行動)
準優先度 8190 : すばやさ1810
~
準優先度 1809 : すばやさ8191
準優先度 1808 : すばやさ0 or 8192
準優先度 1807 : すばやさ1 or 8193
~ 準優先度1700あたりに普通のポケモン ~
準優先度 1 : すばやさ1807 or 9999
準優先度 0 : すばやさ1808 or 10000以上(一番最後に行動)
すばやさ1809~8191のポケモンがその中で遅い順に行動した後、それ以外のすばやさのポケモンが通常時の行動順と逆に行動することになります。すばやさ1809~8191とそれ以外でそれぞれ別々に準優先度が反転しているとも言えます。
つまり、すばやさが1809を超えれば(そして8200あたりよりも低ければ)、トリックルーム中に普通のポケモンより先に行動できます!すばやさを極めればトリックルームも怖くありません。
以上のことから、冒頭のことが言えます。
レベル100のスピードフォルムデオキシスは最速だとすばやさ実数値504。すばやさが6段階上がるとそれが4倍(8/2倍)になり、すばやさ2016。2016は1809~8191の範囲であるため、普通のポケモンよりもトリックルーム中の準優先度が高いです(準優先度7984)。
よって、他のポケモンが普通のすばやさなら、「すばやさ6段階上昇レベル100最速スピードフォルムデオキシスがトリックルーム中に最初に行動する現象」が発生します!ちなみに、2016は8192を下回っているのでトリックルームではない場合も最初に行動します。
「すいすい」などのすばやさが倍になる特性や「おいかぜ」状態はランク補正とは別にかけられるので、工夫すればレベル50の一般ポケモンでもすばやさ1809以上は実現可能です。
おわりに
バグとも言えるような行動順になり(特にトリックルーム中)、おもしろいですね。検索しても一切ブログで取り上げられていない内容でしたが、小ネタとしていい感じです。まだまだすばやさ関連でいろいろ書けそうなのでまた書くかもしれません。
3000字以上の長い記事になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
次・再現編
次の次・実戦(実践)編
(追記)
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